2012年度アメリカ監督組合賞 受賞結果発表

2012年度(第65回)アメリカ監督組合賞の授賞式が行われ、受賞結果が発表になりました。 

なお、一部で、アニメーション映画部門の監督賞受賞者は『シュガー・ラッシュ』のリッチー・ムーア監督との報道がありますが、アメリカ監督組合賞ではアニメーション映画の監督の表彰は行っていません(=「アニメーション映画部門」という表彰項目が存在しない)。 おそらく、アニー賞での受賞と混同されていると思われます。


【参照】 indiewire  2013 DGA Awards: All The Announced Winners


● 公式サイトでの発表 (2013/02/02付け)  DGA Awards Winners



● アメリカ監督組合 公式サイト(トップページ)
 The Directors Guild of America

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2012年度(第65回)アメリカ監督組合賞 受賞結果
(The Directors Guild of America Awards / DGA)

★印 & ピンク文字 … 受賞


劇場用長編映画部門 
Outstanding Directorial Achievement in Feature Film
★ベン・アフレック Ben Affleck
  作品:アルゴ Argo



キャスリン・ビグロー Kathryn Bigelow
  作品:ゼロ・ダーク・サーティ Zero Dark Thirty



トム・フーパー Tom Hooper
  作品:レ・ミゼラブル Les Misérables



アン・リー Ang Lee
  作品:ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 Life of Pi



スティーブン・スピルバーグ Steven Spielberg
  作品:リンカーン Lincoln


こりゃあ……ベン・アフレックにとってはアカデミー賞監督賞落選が完全に追い風になりましたね。そうでなければ、ブロードキャスト映画批評家協会賞~ゴールデン・ブローブ賞~アメリカ製作者組合賞(プロデューサー組合賞)~アメリカ映画俳優組合賞~アメリカ監督組合賞と、軒並み『アルゴ』&ベン・アフレックが受賞するなんてことになったかどうかはわかりませんよ。これでアカデミー賞作品賞の行き先は決まったんじゃない?

「ベン・アフレックはなんでアカデミー賞監督賞に落選したのか?」「有力候補を落とすなんて……これだからアカデミー賞は全く……」なんて言われますが、今年の監督賞部門は激戦で接戦だったんでしょう。だから落ちたんですよ、きっと。(アカデミー賞監督賞に落選したからこそのアメリカ監督組合賞受賞とも言える。) ベン・アフレックが入るためには(ノミネートされた監督のうち)誰かが落選しなければならない。ベン・アフレック落選に苦情を言い続ける人はいったい誰が落ちればよかったと言う気なのでしょう?ノミネート枠を5人から6人とか7人に増やすべきだと主張するのならまだしも……。「あの人がノミネートされないなんておかしい」なんて言うのは易いことだけど、「ノミネートされたアノ監督は落とすべきだった」と言っているのと同然。もちろんベン・アフレックだって2012年度のアカデミー賞監督賞にノミネートされてもなんら不思議ではない監督でしたが、2012年度のアカデミー賞監督賞ノミニーのうち「あの監督は落とすべきだ」と言ってしまってもいいような人は居ないのではないでしょうか。 

スティーブン・スピルバーグ監督は3回目のアカデミー賞監督賞を(おそらく)獲るでしょうけど、記念すべき3回目の受賞も「あの時はさぁベン・アフレックが落選して、いなかったからねぇ」と言われ続けるとなると……気の毒だわね。

(2015/01/14 追記) 2012年度(第85回)アカデミー賞監督賞は『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』のアン・リー監督が受賞しました。(スピルバーグ監督じゃなかった。第85回アカデミー賞のサプライズのひとつでした。)





ドキュメンタリー映画部門 
Outstanding Directorial Achievement in Documentary
★マリク・ベンジェルール Malik Bendjelloul
  作品 シュガーマン 奇跡に愛された男 Searching for Sugar Man
  製作会社 Red Box Films
  製作国 スウェーデン / イギリス



カービー・ディック Kirby Dick
  作品 The Invisible War
  製作会社 Chain Camera Pictures
  製作国 アメリカ



デヴィッド・フランス David France
  作品 How to Survive a Plague
  製作会社 How to Survive a Plague LLC
  製作国 アメリカ



ローレン・グリンフィールド Lauren Greenfield
  作品 Queen of Versailles
  製作会社 Evergreen Pictures、他 
  製作国 アメリカ



アリソン・クレイマン Alison Klayman
  作品 アイ・ウェイウェイは謝らない Ai Weiwei: Never Sorry
  製作会社 Never Sorry LLC
  製作国 アメリカ


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以下の部門は、受賞者のみ。

テレビ映画およびテレビミニシリーズ
Outstanding Directorial Achievement in Movies for Television and Mini-Series
ジェイ・ローチ Jay Roach
 作品 ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女  Game Change



ドラマ・シリーズ(TV)
Outstanding Directorial Achievement in Dramatic Series
ライアン・ジョンソン Rian Johnson
 作品 ブレイキング・バッド エピソード "Fifty-One"  Breaking Bad, “Fifty-One”
※ ライアン・ジョンソンは映画『LOOPER/ルーパー』の監督。



コメディ・シリーズ(TV)
Outstanding Directorial Achievement in Comedy Series
レナ・ダナム Lena Dunham
 作品 Girls "パイロット版"  Girls, “Pilot”



音楽バラエティ(TV)
Outstanding Directorial Achievement in Musical Variety
グレン・ウェイス Glenn Weiss
 作品 第66回トニー賞授賞式 66th Annual Tony Awards



リアリティ番組(TV)
Outstanding Directorial Achievement in Reality Programs
ブライアン・スミス Brian Smith
 作品 MasterChef, “Episode #305” (MasterChef: USA版)
   (『MasterChef』・・・勝ち抜き型料理リアリティ・ショー)



デイタイム・シリーズ(TV)
Outstanding Directorial Achievement in Daytime Serials
ジル・ミットウェル Jill Mitwell
 作品 One Life To Live, “Between Heaven and Hell”



子供番組(TV)
Outstanding Directorial Achievement in Children's Programs
ポール・ホーエン Paul Hoen
 作品 レット・イット・シャイン Let it Shine



コマーシャル
Outstanding Directorial Achievement in Commercials
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ Alejandro González Iñárritu
 作品 プロクター・アンド・ギャンブル社(P&G)
    2012年ロンドン・オリンピック用CM "Best Job"
    Best Job, Proctor and Gamble (Anonymous Content 社:制作)

【Anonymous Content 社】……映像作家・作家・俳優等のタレント・マネージメント会社。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督も同社と契約。他にも、アルフォンソ・キュアロン、アン・リー、キャリー・フクナガ、スティーブン・ソダーバーグ、ジェームズ・グレイ、ウォン・カーウァイ、など 公式サイト(トップページ)は こちら

※ アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は2006年度『バベル』で劇場用長編映画部門で同賞へノミネートされていますが、このコマーシャル部門でのノミネートは初、とのこと。

Olympic Games 2012 London - Best Job (P&G)


このCMのような感じで済んでいれば素晴らしいと思うけれど、こうなってしまうと……暴行を受けようと誰が死のうと、とにかく自分たちだけは頂点を目指して続けたいという、"なんだかなあ"という感慨しか湧いてこない事態になるのですが……。


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以下の名誉賞はすでに受賞が決定していました。

アメリカ監督組合 生涯業績賞 DGA Lifetime Achievement Award
ミロス・フォアマン Milos Forman



ロバート・アルドリッチ賞 Robert B. Aldrich Award
マイケル・アプテッド Michael Apted



生涯業績賞(ニュース演出において) 
Lifetime Achievement in News Direction Award
エリック・シャピロ Eric Shapiro


フランク・キャプラ業績賞 Frank Capra Achievement Award
スーザン・ズワーマン Susan Zwerman



フランクリン・J・シャフナー業績賞 
Franklin J. Schaffner Achievement Award
ダンシー・ネルソン Dency Nelson



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