2017年度(第90回)アカデミー賞|アカデミー会員として774名を招聘|真田広之、菊地凛子、三池崇史、出口景子(編集)招聘

2017年6月29日付けで、映画芸術科学アカデミーはアカデミー会員として774名の映画関係者を招聘することを発表しました。この招聘を受諾した人が2017年度(第90回)よりアカデミー会員として追加されます。(招聘を受けても本人が招聘を受諾しなければ会員として加わえられません。)


昨年度(=2016年度)、”アカデミー会員になりませんか”と 招聘を受けた人(招聘を受諾した人ではない。)は 683名 でした。



● 公式サイト内 プレスリリース (2017年6月29日付け)
 Class of 2017( ttp://www.app.oscars.org/class2017/#oscars-stat )



【参照】 
● Variety.com  2017年6月29日付け記事
Academy Invites Record 774 New Members( ttp://variety.com/2017/film/news/academy-new-members-class-of-2017-1202481404/ )



● Awardsdaily.com    2017年6月29日付け記事
Academy Invites 774 to Membership( ttp://www.awardsdaily.com/2017/06/28/academy-invites-774-membership/ )



● シネマトゥデイ  2017年6月29日付け記事
米アカデミー新会員に真田広之、菊地凛子、三池崇史ら( ttps://www.cinematoday.jp/news/N0092548 )
白人男性が大部分を占める会員に多様性をもたらすことを目的に、今年は過去最多となる774人の新メンバー(57か国)が選ばれた。うち39%が女性で、30%が有色人種だという。映画芸術科学アカデミーは昨年、2020年までに女性や有色人種など少数派の会員の数を現在の2倍にすると発表していた。 俳優部門では真田、菊地に加え、『アベンジャーズ』シリーズのクリス・エヴァンスクリス・ヘムズワース、『ワンダーウーマン』で大成功を収めたガル・ガドット、『ハリー・ポッター』シリーズのルパート・グリントトム・フェルトン、4月に19歳になったばかりのエル・ファニング、アクションスターのドウェイン・ジョンソン、インドのアーミル・カーン、香港のドニー・イェンなどが選ばれている。





● 映画芸術科学アカデミー 公式サイト(トップページ)
 The Academy of Motion Picture Arts and Sciences


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今回、招聘を受けた日本人映画関係者
(なお、代表作は映画芸術科学アカデミーのプレスリリースに掲載されているもの)

なお、名前(英語表記)の後ろにアスターリスク(*)が付いている人は複数の分科会から招聘を受けている人です。複数の分科会から招聘を受けている人は、アカデミー会員への招聘を受諾する際には所属する分科会を選択しひとつに限定しなければなりません。



【俳優】branch|Actors

菊地凛子 Rinko Kikuchi
代表作|● パシフィック・リム(2013年) 英題|Pacific Rim

    ● バベル(2006年) 英題|Babel

菊地凛子さんはアカデミー賞ノミニーですからノミネートされた翌年に招聘されていたと思いますが、その時には断ったのですね。




真田広之 Hiroyuki Sanada
代表作|● ライフ(2017年)  英題|Life

    ● たそがれ清兵衛(2002年) 英題|The Twilight Samurai




【監督】branch|Directors

三池崇史 Takashi Miike
代表作|● 十三人の刺客(2010年) 英題|13 Assassins

    ● 殺し屋1(2001年)  英題|Ichi the Killer




【ドキュメンタリー】branch|Documentary
出口景子 Keiko Deguchi *
代表作|● God Knows Where I Am(2016年)

    ● Captivated The Trials of Pamela Smart(2014年)




【編集】branch|Film Editors
出口景子 Keiko Deguchi *
代表作|● God Knows Where I Am(2016年)

    ● 毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト(2006年)
     英題|Fur: An Imaginary Portrait of Diane Arbus




【視覚効果】branch|Visual Effects
フミ・マシモ Fumi Mashimo (※日系人なのかも?)
代表作|● アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015年)
     英題|Avengers: Age of Ultron

    ● ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(2008年)
     英題|The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor



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Yahoo個人 2017年6月29日付け  筆|猿渡由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)
米アカデミーが新会員を発表。日本からは真田広之、菊地凛子、三池崇史ら( ttps://news.yahoo.co.jp/byline/saruwatariyuki/20170629-00072690/ )

平均年齢が60歳以上であることも是正の対象で、昨年に続き、今年も若手が目立つ。今年の最年少は、19歳のエル・ファニング。ほかには、アダム・ドライバー(33)、クリステン・スチュワート(27)、ルーカス・ヘッジス(20)、ルパート・グリント(28)、マーゴット・ロビー(26 )、シェイリーン・ウッドリー(25)などが含まれる。


アカデミーは、会員資格として、「長年、劇場用映画の世界で活動し、優れたことを達成してきた人物」を挙げている。そんな中、 昨年、アメリカ・フェレーラやティナ・フェイなど、主にテレビで活躍する人々が含まれたことは、一部から疑問視された。今年もまた、フェリスのほか、エイミー・ポーラーや、「サタデー・ナイト・ライブ」のケイト・マッキノンとレスリー・ジョーンズらの名前が見受けられる。彼女らはもちろん映画にも出ているのだが、イメージとしては圧倒的にテレビの人だ。

今のアメリカのエンタメ業界の状況でいまだに「あの人はTV主体の人だからアカデミー会員としてはどうなのか……」とか言う人がいるんですね。びっくりする。実態としてはもうTVも舞台も映画も垣根なんて無いのに。ただ、こういう規約があるからこそ問題視されるのであって、それは仕方ない。今後、実態に合っていない規約をどうするのか? 配信会社が製作し先にオンラインで公開された作品をどう扱うのかを含めて、映画芸術科学アカデミーはさらに考えて欲しいです。


昨年は、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」までほぼ無名だったジョン・ボイエガ(25)などが、“長年” “優れたことを達成してきた” という部分に引っかかるのではという声も出た。今年は、監督部門でジョーダン・ピールが招待されている。ピールは、今年2月に北米公開され、批評家からも観客からも絶賛されたホラー映画「Get Out」で一気に注目を集めた人。だが、これが長編映画デビュー作で、その前に俳優をやってきてはいるものの、監督としては新人である。 逆に、この人はもっと早く入れてあげてもよかったのではと思えるベテランの名前も並ぶ。たとえば、シャルロット・ゲンズブール、モニカ・ベルッチ、ダニエル・ブリュール、イルファン・カーンなどだ。もっとも、彼らは外国人。過去にはそこまで考えが及ばなかったということだろう。

長年顕著な活躍をしないと会員になれないというシステムだったからこそ、今の「老人が多い映画芸術科学アカデミー」になっているわけで、そこを変えるとなれば未知数の部分が多い若い映画人を入れなければならないし、「今後の期待込み」で招待するのもいいんじゃないの?10年経てば会員としての資格があるかどうか見直すのだし。


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Yahoo個人 2017年7月2日付け  筆|猿渡由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)
アカデミー新会員の顔ぶれに、ハリウッドは賛否両論( ttps://news.yahoo.co.jp/byline/saruwatariyuki/20170702-00072821/ )

一方で、スティーブン・ギャロウェイのコラムは好意的である(Why the Academy Got It Right This Year With Its Invites)。 (中略) 「この774人を招待することで、白人男性ばかりという構図を変えるだけでなく、アカデミーは時流に合った、革新的な団体であるというイメージを与えようとしているのだ」と分析する。「基準が下がる」という声が出ていることについては、「目的は、実際に仕事をしている人たちを入れて、していない人たちに出てもらうことなのだ」と弁護した。 (中略)  「特定の人に疑問を持つか?もちろんだ」とも言うが、「これは方向として間違っているか?いや、間違っていない」と続ける。さらに、「この人たちを入れることで、アカデミーは、自分たちが今や変わるか、死ぬかの瀬戸際にあることを見せつけたのである」とも述べた。 (中略) ギャロウェイも、「問題は、どの映画にゴーサインを出すかの段階にある。スタジオのトップは自分と似た人に囲まれていて、自分たちの経験からほど遠い映画を拒否する傾向にあるのだ」と言う。だが、 彼は、「だからと言ってアカデミーが何もしなくていいわけではない。アカデミーには影響力があるのだから。映画業界はアカデミーに影響を与えるが、アカデミーも業界に影響を与えるのだ」と、アカデミーの努力が無駄ではないと主張している。

個人的にはスティーブン・ギャロウェイの意見に賛成です。今、手を打たずに放っておけば観客に完全に見放される。一(いち)観客からしても、アメリカの劇場用映画製作状況には危機感を抱いてしまうし、落胆することのほうが多くなってきました。このままではアカデミー賞も有り難がってはもらえなくなるでしょう。

スコット・ファインバーグ氏が行なった提言『業界内の各組合(俳優組合、監督組合、脚本家組合など)の会員全員に投票してもらうことにすればいいのではないか』は……もうダメ、絶対。今だって、各組合員たちが出す組合賞の結果がアカデミー賞に大きく反映してしまっていてそれがアカデミー賞をつまらなくしている一因となっているのに。それに、ファインバーグ氏は「今回、経験不足/実績不足の映画人をアカデミー会員として招聘した」と不満と述べているけれど、各組合だって経験が浅く実績不足の若手組合員だっているはずだし、そこはどう考えるのか?

【参考】
The Hollywood Reporter.com
by Stephen Galloway  2017/6/30付け記事
Why the Academy Got It Right This Year With Its Invites

The Hollywood Reporter.com
by Scott Feinberg  2017/06/28付け記事
Oscars: Academy's Invitation List Is Well-Intentioned, But Misguided


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シネマトゥデイ  2017年7月6日付け記事
三池崇史監督、アカデミー賞会員入り前向きに検討中「頑張ってみようかなと」( ttps://www.cinematoday.jp/news/N0092729 )

三池監督は現在開催中の第17回スイス・ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭で行われたトークイベント「Rencontre avec Miike Takashi」に出席し、司会者からアカデミーからの招待を受けたことへの賛辞を贈られると、「ありがとうございます」とにこやかに返答。続けて「ただまだ何も案内状をもらっていないし、普段映画もあまりそんなに観ないのでどうすればいいんだろうなって」と休む間もなく多くの作品を手掛け続けている彼自身の状況について述べつつも、「でもせっかく参加させていただくのであれば、頑張ってみようかなと思います」と前向きに検討していることを説明した。映画芸術科学アカデミーの会員入りについては、賞の選考時に対象作品の鑑賞などで多くの時間を割かれるため負担も大きく、同会員の候補になるも辞退するケースもある。その中でやる気を見せた三池監督。だが彼はその一方で「ただ、一度もアメリカのアカデミー賞に呼んでもらったことがないので、投票するよりも選ばれる側に行きたいと思っています」ともコメント。映画監督としての野望ものぞかせていた。

「選考時に対象作品の鑑賞などで多くの時間を割かれるため負担も大きく、同会員の候補になるも辞退するケースもある」……か、確かにねえ。でも、三池監督、ロサンゼルス・タイムの映画批評家 Justin Chang 氏が「今までのアカデミー会員とは異なるタイプのアジアの映画人がアカデミー会員に招聘された」と三池監督の名を挙げてまで記事(参照|The academy isn't lowering its standards with its biggest membership class — it's raising them を書いているくらい、アジアの映画人として映画芸術科学アカデミーに入ることを期待されているのだし、是非招聘を受けて欲しい。(昨年度もたくさんの日本人映画人が招聘されたけど、やっぱり断ってしまっている人もいるのかなあ……)




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