2018年(第71回)カンヌ国際映画祭|ネットフリックス(Netflix)テッド・サランドス氏、カンヌへは作品を出品しないと語る|Variety.com より

「ネットフリックス(Netflix)、カンヌへ出品やめるってよ」――コンペティション部門のみでなく、コンペ外(out of competition)部門にも出品しないとのこと。ただし、ネットフリックスの映画買い付け担当は映画を買い付けのためにカンヌへ行くし(良いものがあれば)買う、とのこと。



Variety.com 2018/04/11(13:49)付け記事
Netflix Pulls Out of Cannes Following Rule Change (EXCLUSIVE)

[ And you aren’t taking movies to the festival out of competition? ] No. I don’t think there would be any reason to go out of competition. The rule was implicitly about Netflix, and Thierry made it explicitly about Netflix when he announced the rule.

We loved the festival. We love the experience for our filmmakers and for film lovers. It’s just that the festival has chosen to celebrate distribution rather than the art of cinema. We are 100% about the art of cinema. And by the way, every other festival in the world is too.
(自己流 訳)私たちはこの祭りが好きでした。映画製作者や映画愛好家のための経験(映画祭体験)も大好きです。映画祭は映画芸術よりも流通を祝福し賞賛することを選んだのです。私たちは映画芸術に関して100%(=映画芸術に対してがすべて)なのです。ついでに言えば世界中の他の映画祭についても同じですよ。


(Did you talk to Thierry before he made the rule change?) I believe it was not just Thierry’s decision. I think it was the decision of his board, which is made up of several exhibitors. I know we didn’t have any conversation with Thierry. I read about it in the press.
(自己流 訳)|(「ティエリー・フレモーがルールを変える(=コンペ部門へ出品される作品はフランス国内で劇場公開をすることが前提となる。劇場公開されないものはコンペ部門へ選出されない)その前に彼と話をしましたか?」という質問に対して)「カンヌの決定はティエリー・フレモー単独で下されたものではないと信じています。(彼が率いている)数名の参加者から成る委員会での決定だと思っています。私たちはティエリー・フレモーと一切会話はしていません。私はプレス(=報道)を通じて(ルール変更に関してを)読んでいます。






AFPBB News 2018年4月12日付け記事
Netflix、カンヌ映画祭不参加へ 「不当な扱い受ける恐れ」

「わが社の映画が、あらゆる他の映画制作会社の作品と共に公正に扱われることを希望する」「このような方法では、われわれの映画と映画制作会社が映画祭で不当な扱いを受ける恐れがある」などと語った。
昨年のカンヌでもスクリーンに映し出された「Netflix」の文字に対してブーイングとか受けてたものね。

フランスの法律は、劇場公開後3年間にわたり映画のストリーミング配信を禁じている。この規制については、海賊版の横行や、ネットフリックスをはじめとするストリーミング配信サービスの人気が米国で急上昇している中で、時代遅れだとの見方が強い。 ネットフリックスは自社作品のフランスでの劇場公開に前向きな姿勢を示す一方、ストリーミング配信まで3年も待ってはいられないと主張している。
「3年待たされている間、フランスの観客はどうしているのか?」と思っていましたが、海賊版を見てしまうののですね。あー。みすみす海賊版へ客をとられているなんて。馬鹿げてる。ネットフリックスも劇場公開をやみくもに拒んでいるわけじゃないんだよね。そういうニュアンスで報道されることが多いけど。






The Wrap 2018/04/11付け記事
Netflix Bails on Cannes Over Theatrical Release Mandate

Netflix’s prospective competition titles included Jeremy Saulnier’s Jeffrey Wright drama “Hold the Dark,” Alfonso Cuaron’s “Roma” and potentially David Mackenzie’s Chris Pine period drama “Outlaw King.” Paul Greengrass’ “Norway” is also on the horizon at the streaming service, though not all are thought to be completed or ready for screening.The company also had Orson Welles’ “The Other Side of the Wind” — a film the legendary director never finished before his death in 1985. Netflix did it for him, with some change they found in the couch.

ネットフリックスはカンヌのコンペ向きとして、ジェレミー・ソルニエ監督作ジェフリー・ライト出演『Hold the Dark』、アルフォンソ・キュアロン監督作『Roma』、デヴィッド・マッケンジー監督作クリス・パイン出演『Outlaw King』などを、また、コンペ外作品としてネットフリックスが出資し完成させたオーソン・ウェルズの未完作品『The Other Side of the Wind』なども持っていた。近いうちに配信される予定のポール・グリーグラス監督作『Norway』なども。


劇場公開から3年も配信で鑑賞できないなんて観客の不利益にしかならないと思うんですよねえ。それを支持するカンヌ映画祭にも事情は大いにあるとは思うけれども。カンヌ映画祭に資金援助をしてくれているフランスの映画館興行界のこ意向には抗えないのでしょうが、でも……。カンヌは映画や映像作品やそれを上映する環境に関する技術的先進性などは求めていないということでしょうかねえ。かつてはそういうものを求めていたんじゃないのかな、どうでしょう?

ネットフリックス作品をフランス国内で劇場公開したら3年間は配信で出せないからネットフリックス側としては嫌よね。万が一、パルムドールをネットフリックス作品に獲られちゃったりしたらカンヌで最高賞を獲った作品がフランス国内で劇場未公開になっちゃうからフランス映画館興行界としては哀しいでしょう。映画館でも上映し同時にネット配信も出来ればいいのに。『オクジャ/okja』の場合、韓国ではネットフリックスで配信し且つ独立系の映画館で上映もしたのだし。劇場公開から3年も配信で出せないというフランスの法律が逆に足かせになっているような気が……。(第一、3年配信を先送りにしたところで映画館へ客がアートシネマを見に行くわけじゃないと思うんだけどもねえ。もしも客がアートシネマをこぞって見に行くとしても大都会だけだろうし。都会の映画館だけが利益を得ることが出来ればそれでいい、ということなのかねえ。)


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