ティエリー・フレモー(カンヌ国際映画祭 総代表)、ネットフリックスに「アルフォンソ・キュアロン新作を出品して!」と懇願する|「インディワイヤー」(Indiewire)の記事による|2018年(第71回)カンヌ国際映画祭

ティエリー・フレモー氏からの泣きが入りました……。ネットフリックスのために コンペ外部門 の席は空けて待っていた(たぶんね。たぶんネットフリックス作品のために空けてあった。)のに、そちらにも出さないということになってしまったし。出品を見込んでいた作品の仕上げが間に合わない / 戦略的な面を考慮して敢えてカンヌ出品を避ける作品が出た / パオロ・ソレンティーノ監督作『Loro』のように出品条件が合わない、などがあって、コンペ部門のラインナップが若干地味めになったことを気にしているのかなあという感じ。目玉作品が欲しいのではないかと想像します。

ネットフリックスのテッド・サランドス氏はどうするでしょう?カンヌに恩を売るか?恩を売るにしても何の見返りも無しで恩は売らないでしょう。カンヌのティエリー・フレモーはマスコミを通じて「『フランス国内で劇場公開された映画は3年のあいだは配信によって鑑賞は出来ない』という法律は馬鹿げたものであり、そのルールは変える時期が来ている」と宣言したわけですし。


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indiewire 2018/04/13付け記事
Alfonso Cuarón at Cannes 2018: Festival ‘Continuing to Beg’ Netflix to Let ‘Roma’ Premiere

“I am asking them to accept that rule,” Frémaux said. “They show dozens and dozens of films each year on Netflix. Could they not release just one film a year theatrically in France in order for it to come to Cannes? If you go to China, you’re faced with censorship. You can’t show everything you want over there. Each country has its specificity. The specificity of France is that it asks Cannes to only put films in Competition that are free to be shown theatrically. The consequence of the chronology means it comes out three years later. Sure, it’s absurd. On a personal level, I think it’s time to change it but for now, in 2018, we are where we are.”

(自己流 訳)ティエリー・フレモーは「私は、彼ら(=ネットフリックス)にルールを受け入れてくれるよう求めました」と言った。「ネットフリックスは年間に数限りないほどの映画を公開しています。彼らはカンヌにやってくるために、たった1本の映画さえも劇場公開出来ないとは。もし中国に行くのであれば、検閲に直面しますよね。自分が望むものすべて公開出来るわけではありません。それぞれの国には各国の特異性というものがあるのです。劇場公開された映画のスケジュールとして、フランスでの劇場公開作は3年後にならないと配信はできないことになっています。確かに、それは不合理で馬鹿げています。個人的には、そういう規則(=法律)は変える時期に来ていると思っていますが、でも今、この2018年の段階では(法律で決められているので)、こうするしかないのです。





Frémaux recalls that he nearly lost his job last year for allowing Netflix to premiere two films in competition, “Okja” and “The Meyerowitz Stories,” even though both titles never were released in French theaters. The festival director notes that Cuarón’s “Roma” is a “beautiful film” and he’ll continue to urge Netflix to allow Cuarón to be part of this year’s Cannes competition. The 2018 festival announced its competition lineup April 12, but Frémaux said more films will be added in the coming week, which leaves the door open for Cuarón if Netflix is willing to change its mind.

(自己流 訳)昨年カンヌのコンペ部門へ選出された『オクジャ/okja』と『マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版)』はフランスでは劇場公開されなかったが、その2作品がカンヌでプレミア上映されることを許可した昨年、自分が解任寸前までいったことをティエリー・フレモーは思い返す。カンヌの総代表はアルフォンソ・キュアロンの『Roma』は「美しい映画」であることを強調する。そして、キュアロンの新作がカンヌのコンペ部門作品となることをネットフリックスが許可してくれるよう強く説得し続けていくだろう。カンヌ映画祭は4月12日コンペ部門のラインナップを発表したが、来週にもコンペ部門へ追加される作品を発表する予定でいる。ネットフリックスが気持ちを変えてくれさえすればキュアロンのためにドアは開かれている。


(「インディワイヤー」はこの記事の中で「ネットフリックスが《フランスで劇場公開する。そして3年のあいだ配信での鑑賞を不可とする》という条件さえ飲めば、キュアロンの新作をコンペ部門へ入れることをカンヌは確約している」と報じているも同然なんですけど、こんな大っぴらにそんなこと言っちゃっていいのかねえ。いや、もういいのか……みんな大体分かっているし。いまさらもう建前もなにも無いのかもね。)





“Up until now, I’ve only done good stuff for Netflix,” Frémaux said. “Last year there were two films. But I was heavily criticized. I nearly lost my job. It was very violent. I like Ted Sarandos a lot. One day we’ll be on the red carpet together again. A lot of things are going to change. Netflix is going to change, Cannes is going to change. Alfonso Cuarón’s film is a beautiful film and I also want to applaud Netflix for coming on board the amazing Orson Welles project.”

(自己流 訳)ティエリー・フレモーは「いま現在に至るまでに、私ただ一人だけがネットフリックスにとって好都合なことをしてきたのです」と言う。「昨年、コンペにはネットフリックス作品が2つありました。でも私はひどく非難されたし、それで仕事を失う寸前までいきました。それはとても暴力的なことでした。私はテッド・サランドスのことがとても好きです。いつの日か、私たちはレッドカーペットの上に一緒に立つことになるでしょう。多くのことが変化しようとしているのです。ネットフリックスも変化しようとしているし、カンヌも変化しようとしている。アルフォンソ・キュアロンの映画は美しい映画です。そして、ネットフリックの素晴らしきオーソン・ウェルズの企画が公開されようとしているのにも賞賛を送ります」





Both Welles’ daughter and the film’s producer Filip Jan Rymsza have released statements expressing heartbreak over Netflix’s decision to remove the film from Cannes and asking Netflix to reconsider the choice.

(自己流 訳)オーソン・ウェルズの娘とプロデューサー Filip Jan Rymsza が、ネットフリックスがカンヌ出品を取り止めるという決定を下したことに心を痛めており考え直して欲しい、とネットフリックスに対して再考をうながす声明をすでに発表している。



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