2012年カンヌ国際映画祭|受賞結果|パルム・ドールはどの作品?

2012年カンヌ国際映画祭の授賞式が行われ、受賞結果が発表されました。


【参照記事】 indiewire
Michael Haneke's 'Amour' Wins Palme D'Or at 2012 Cannes Film Festival


● 2012年カンヌ国際映画祭 公式サイト内での発表
http://www.festival-cannes.com/jp/theDailyArticle/59528.html


2012年(第65回)カンヌ国際映画祭は 2012年05月16日から05月27日まで でした。


メイン・コンペティション部門 
審査員長
  ナンニ・モレッティ Nanni Moretti (イタリアの監督、俳優) 
審査員
  ヒアム・アッバス Hiam Abbass (パレスチナ人女優、監督)
  アンドレア・アーノルド Andrea Arnold (イギリスの監督、脚本家)
  エマニュエル・ドゥヴォス Emmanuelle Devos (フランスの女優) 
  ダイアン・クルーガー Diane Kruger (ドイツの女優) 
  ジャン=ポール・ゴルチエ Jean Paul Gaultier (フランス出身ファッション・デザイナー)
  ユアン・マクレガー Ewan McGregor (イギリスの男優)
  アレクサンダー・ペイン Alexander Payne (アメリカの監督、脚本家、プロデューサー)
  ラウル・ペック Raoul Peck (ハイチ出身監督、脚本家、プロデューサー)


短編映画部門 (シネフォンダシヨン部門審査員と兼任)
審査委員長
  ジャン=ピエール・ダルデンヌ Jean-Pierre Dardenne (ベルギー人映画監督、脚本家)
  (ダルデンヌ兄弟:兄)
審査員
  アルシネ・カンジアン Arsinée Khanjian (レバノン出身のカナダ人女優)
  カリン・アイヌー Karim Ainouz (ブラジル人監督、脚本家)
  エマニュエル・カレール Emmanuel Carrère (フランス人作家、脚本家、監督)
  ユー・リクウァイ Yu Lik-wai / Nelson Yu Lik-wai (中国人撮影監督兼監督)


カメラ・ドール
審査員長
  カルロス ディエギス Carlos Diegues (ブラジル人映画監督)
審査員
  ミシェル・アンドリュー Michel Andrieu 
  (フランスの映画監督、脚本家 / 映画監督協会 代表)
  レミー・シェヴラン Remy Chevrin 
  (フランスのカメラマン、撮影監督 / フランス映画撮影監督協会 代表)
  Francis Gavelle
  (フランスの映画批評家 / フランス映画批評組合 代表)
  Hervé Icovic
  (映画・視聴覚・マルチメディア産業連盟 代表)
  Gloria Satta
  (「Il Messaggero」紙のイタリア人記者)



● カンヌ国際映画祭 公式サイト(日本語ページ) → こちら

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2012年カンヌ国際映画祭 受賞結果
(Le Festival International du Film de Cannes / Festival de Cannes)
(Cannes International Film Festival)


【コンペティション部門】 In Competition

パルム・ドール Palme d'Or
愛、アムール  (ドラマ)  ※トレーラー
英題:Love  原題:Amour
監督  ミヒャエル・ハネケ Michael Haneke
製作国 フランス / オーストリア / ドイツ
脚本  ミヒャエル・ハネケ
撮影  ダリウス・コンジ 
編集  ナディン・ミュズ
     モニカ・ヴィッリ
出演  イザベル・ユペール、ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴ、
     ウィリアム・シメル、リタ・ブランコ、ローラン・カペリュート、他
北米配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス Sony Pictures Classics
日本配給 ロングライド (IMDb に拠る)
ミヒャエル・ハネケ監督は、2001年には『ピアニスト』で審査員特別グランプリ受賞、2005年には『隠された記憶』で監督賞受賞、そして2009年には『白いリボン』でパルム・ドールを受賞しています。2度目のパルム・ドール受賞となりました。




審査員特別グランプリ Grand Prix
Reality (コメディ / ドラマ)   ※ビデオクリップ
〔旧題:Big House〕
リアリティー (← 2012年東京国際映画祭での邦題)
監督  マッテオ・ガローネ Matteo Garrone
製作国 イタリア / フランス 
脚本  マッテオ・ガローネ
     マルリツィオ・ブラウッチ
     ウーゴ・キーティ
     マッシモ・ガウディオソ
音楽  アレクサンドル・デプラ(アレクサンドル・デスプラ)
撮影  マルコ・オノラート
編集  マルコ・スポレンティーニ
出演  クラウディア・ジェリーニ、チーロ・ペトローネ、Nunzia Schiano、他
※ オシロスコープ・ラボラトリーズ(Oscilloscope Laboratories)が北米での配給権を獲得。
  (2012/05/26付け)




審査員賞 Prix du Jury (The Jury Prize)
天使の分け前 (コメディ / ドラマ)   ※トレーラー
The Angels' Share
監督  ケン・ローチ Ken Loach
製作国 イギリス / フランス
脚本  ポール・ラヴァーティ
音楽  ジョージ フェントン
撮影  ロビー・ライアン
編集  ジョナサン・モリス
出演  ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショウ、ウィリアム・ルアン、
     ガリー・メイトランド、ヤスミン・リギンズ、シオバン・ライリー、
     ロジャー・アラム、デヴィッド・グッドール、ジェームズ・ケイシー、他
※ サンダンス・セレクツ(Sundance Selects)が北米での配給権を獲得。
  (2012/05/24付け)




監督賞 Prix de la mise en scène (The Best Director Award)
監督  カルロス・レイガダス Carlos Reygadas
作品:Post Tenebras Lux (ドラマ)  ※ビデオクリップ
闇の後の光 (← 2012年東京国際映画祭での邦題)
製作国 メキシコ / フランス / オランダ
脚本  カルロス・レイガダス
撮影  アレクシス・サベ
編集  ナタリア・ロペス
出演  Adolfo Jimenez Castro、Nathalia Acevedo、Willebaldo Torres、
     Rut Reygadas、Eleazar Reygadas、他





脚本賞 Prix du scénario (The Best Screenplay Award)
汚れなき祈り (ドラマ) ※ビデオクリップ
Beyond the Hills  原題:După dealuri
監督  クリスティアン・ムンジウ Cristian Mungiu
製作国 ルーマニア
原案  Tatiana Niculescu Bran
    ノンフィクション小説
     「Deadly Confession」(原題:Spovedanie la Tanacu)
    ノンフィクション小説
     「Judges’ Book / The Book of the Judges」(原題:Cartea Judecatorilor)
脚本  クリスティアン・ムンジウ
撮影  オレグ・ムトゥ
編集  Mircea Olteanu
出演  コスミナ・ストラタン、クリスティーナ・フルトゥ、Valeriu Andriuţă 、
     Dana Tapalaga、他
北米配給 サンダンス・セレクツ Sundance Selects




男優賞 Prix d'interprétation masculine (The Best Actor Award)
マッツ・ミケルセン Mads Mikkelsen
作品:偽りなき者 (ドラマ)   ※トレーラー
英題:The Hunt 原題:Jagten
監督  トマス・ヴィンターベア Thomas Vinterberg
製作国 デンマーク 
脚本  トマス・ヴィンターベア
     トビアス・リンホルム
音楽  ニコライ・エグランド
撮影  シャルロッテ・ブルース・クリステンセン
編集  ヤヌス・ビレスコフ=ヤンセン
     Anne Østerud
※ マグノリア・ピクチャーズ(Magnolia Pictures)が北米での配給権を獲得。
  (2012/05/30付け)
● 『The Hunt』は、2012年カンヌ国際映画祭のエキュメニカル審査員賞も受賞しました。




女優賞 Prix d'interprétation féminine (The Best Actress Award)  ※ 2名の受賞
コスミナ・ストラタン Cosmina Stratan
クリスティーナ・フルトゥ Cristina Flutur
作品:汚れなき祈り 英題:Beyond the Hills 原題:După dealuri) (ドラマ)
監督  クリスティアン・ムンジウ Cristian Mungiu
製作国 ルーマニア
原案  Tatiana Niculescu Bran
    ノンフィクション小説
     「Deadly Confession」(原題:Spovedanie la Tanacu)
    ノンフィクション小説
     「Judges’ Book / The Book of the Judges」(原題:Cartea Judecatorilor)
脚本  クリスティアン・ムンジウ
撮影  オレグ・ムトゥ
編集  Mircea Olteanu
北米配給 サンダンス・セレクツ Sundance Selects


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カメラ・ドール(新人監督賞) Caméra d'Or
監督  ベン・ザイトリン Benh Zeitlin
作品:ハッシュパピー バスタブ島の少女 Beasts of the Southern Wild (ドラマ)
製作国 アメリカ
脚本  ベン・ザイトリン
     ルーシー・アリバー
音楽  ベン・ザイトリン   
     Dan Romer
撮影  ベン・リチャードソン 
編集  クロッケット・ドーブ
     アフォンソ・ゴンサルヴェス
出演  クべンゼイン・ワリス、ドワイト・ヘンリー、Lowell Landes、Levy Easterly、他
北米配給 フォックス・サートライト・ピクチャーズ Fox Searchlight Pictures
※ 2012年サンダンス映画祭ドラマ部門グランプリ〔審査員大賞〕受賞作。
● 『Beasts of the Southern Wild』は、2012年カンヌ国際映画祭の
  国際映画批評家連盟賞も受賞しました。
● 『Beasts of the Southern Wild』は、2012年カンヌ国際映画祭の
  エキュメニカル・スペシャル・メンションも受賞しました。


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【短編映画部門】  Short Films

パルム・ドール Palme d'Or du court métrage (The Short Film Palme d'Or)
Silent  (原題:Sessiz-be deng)  (14分)
監督  L. Rezan Yesilbas
製作国 トルコ



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MovieWalker 2012年05月28日付け記事
第65回カンヌ国際映画祭、パルム・ドールに輝いたのはミヒャエル・ハネケ監督

「受賞結果は大方の予想を大きく外すものとなった」と書いてありますが、そうかなあ……。パルム・ドールをハネケと予想していた人はけっこう居たような気がしますが。批評家の評価と受賞結果が食い違うことも多いカンヌ映画祭ではむしろ批評家の評価と最高賞の受賞結果が一致したということが逆に意外と言えるかもしれません。そういう意味では「波瀾」かも。それにミヒャエル・ハネケは3年前にパルムドールを受賞したばかりなので、前回受賞から間が開いていないこの時期に2度目は無いだろうと考えた人にとっては意外な結果だったのかもね。サプライズは監督賞と女優賞で、それ以外は昨年『ローマ法王の休日』というコミカルな要素もある作品をリリースしたナンニ・モレッティが審査員長ということを考えれば『Reality』や『The Angels' Share』はアリだと思っていたので、そんなに意外でもなく。

記事では「大荒れの受賞結果に、記者会見も混乱。食ってかかるような質問をする記者もいたりした。しかし、決まったものは仕方がない。これが今年のカンヌ国際映画祭、なのである」と結んでありますが、ビミョーに腑に落ちない表現です。結果に対してブーイングが出たり記者会見でプレスが文句を言うというのは毎年のことじゃないの? とにかく、この記事を書いた方は受賞結果に不満があるのは間違いないでしょう。 思うに、審査員たちが出す結果と自分の(もしくは、自分を含めた取材陣や映画批評家たちの)作品評価が一致するはずと思っているからこそ不満が出てくるわけで、では、なぜ審査員たちの評価と自分や自分たちの評価が同じになるはずと思えるのか?が個人的には不思議。そんなの、違って当然のような気がしますけどねえ。 (2012/05/28 記)

でも、MovieWalkerの編集長はツイッターで「(ハネケの受賞は)下馬評通り」と言っています。下馬評通りなのか?波乱の結果なのか?どっちなの?
https://twitter.com/moviewalker_ce/statuses/206917280498581505



映画.com 2012年05月28日付け記事
カンヌ・パルムドールはハネケ監督作に栄冠 ハリウッド勢は無冠
「結果的にハリウッド系の作品もすべて無冠に終わり、作家的な映画を応援するカンヌの伝統が守られた結果となった」……ハリウッド勢??? ハリウッド系??? アメリカ映画でハリウッドスターが出演していてもハリウッド映画とは限らない。アメリカ製作の映画でハリウッドスターが出演していればハリウッド系と呼ぶのは止めたほうがいいと思うのですが。

昨年は審査員長もアメリカ人でしたし、パルム・ドール受賞作も監督賞受賞作もアメリカ映画、女優賞受賞者もアメリカ人俳優でした。今年はヨーロッパの監督が審査員長ですし、アメリカ作品の中に頭抜けたものがなければヨーロッパの作品へ賞が行くのも当然でしょう。昨年の反動もあると思う。アメリカ勢とすれば、今年、メイン・コンペティションへ沢山のアメリカ作品がピップアップされただけでも儲けもの、なんじゃないの? 



MovieWalker 2012年6月8日付け記事
第65回カンヌ国際映画祭総評
下馬評で人気のなかった作品が審査員の協議で受賞することは当然あるでしょう。下馬評、って、批評家たちの星取り表の結果や現地で見た人の口コミでしょ?それと審査員の評価結果ががっちり一致するはずだとなぜ思えるのか?違って当然でしょ。それに口コミで評価が高い作品にだって「好きじゃない」「高評価しない」という人は必ず居るわけだし、すべてが一致するわけが無い。

娯楽性と商業性にも富んだ作品のサプライズ受賞があるかと期待もしたが、やはりカンヌの審査員の好みはアートと実験、そして社会告発へと向いてしまうようだ。それがカンヌ国際映画祭の色、なのである

「下馬評で人気のなかった作品が受賞すると不満気味だし、かといって下馬評で人気の高かったものばかりが受賞すれば『意外性が無い』と言って腐す。 それがマスコミ、なのである。」 ……だよ。 娯楽性と商業性にも富んだ作品が選ばれればそれはそれで「カンヌをはじめヨーロッパの三大映画祭は娯楽性や商業性から外れた作品に光を当ててきたのに…」って絶対文句言うはず。結局何か文句言うんだよ。ぶつぶつ文句言いさえすえばそれが批評になる?総括になる?個人的な感想や個人的な苦言は「最後に、これは個人的な印象だが…」として別枠で語ればいい。個人の主観を総評の中へ入れ過ぎる。俯瞰して冷静にレポートしないと総評にはならないんじゃないのかねえ。 現地からの速報としての総括文なら感情が高ぶって主観が盛大に混じるのも致し方ないとは思うけど、こうして時間が経ったあとに出てくるレポートでもこれだと……。

よく「シネマトゥデイ」の記事の記述は批判されるけれど、映画.comだってMovieWalkerだってこういうレポート記事や何かを総括するような記事の質はそんなによくない。 



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バンジョーとポピー Banjo and Poppy
作品:サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド
    英題:Sightseers  仏題:Touristes !  
※ 「監督週間」(The Directors' Fortnight): 特別セッション作品。
監督:ベン・ウィートリー Ben Wheatley
製作国:イギリス
※ IFCフィルムズ(IFC Films)が北米での配給権を獲得。 (2012/05/23付け)



パルムドッグ賞:審査員特別賞 A special Jury Prize
ビリー・ボブ Billy Bob
作品:Le Grand Soir  ※ ある視点部門エントリー作品。
監督:ブノワ・ドゥレピーヌ、ギュスタヴ・ケルヴェン
    Benoit Delepine & Gustave Kervern
製作国:フランス / ベルギー





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