台湾のツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督、映画製作から引退|2013年ベネチア国際映画祭

2013年ベネチア国際映画祭のメイン・コンペティションへピックアップされているツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督が映画製作から引退する旨を発表した模様。


レコードチャイナ 2013年9月6日付け(21時40分)
宮崎駿監督に続き、ツァイ・ミンリャン監督が引退=相次ぐ発表に衝撃―ベネチア映画祭
5日(現地時間)、「Stray dogs」の上映会に出席したツァイ監督は、「商業映画を作るのは自分の芸術的な原則に反する」として、映画界からの引退を発表。今後、映画は一切撮らないと宣言した。


ここには「商業映画を作るのは自分の芸術的な原則に反する」からという理由しか載っていませんが、その他にも健康問題や映画製作の資金調達が困難になってきているということも引退宣言の背景としてあるようです。

健康の問題がどの程度なのかは分かりませんが、身体の具合がすぐれないのであれば映画作りをそう無理強いは出来ないでしょう。 "作りたくないものを嫌々作るくらいならいっそやめてしまう"のも選択枝としてはアリだと思います。それに、やめた後しばらくしてどうしても作りたくなってジリジリとし始めたら、どうにかこうにかして資金を調達し、また作り出すことでしょう。 ツァイ・ミンリャン監督の引退宣言を聞いて「それはもったいない。私が資金を出しましょう」という人がもしかしたら出てくるかもしれないしね。

それにしても「お餞別代わりに賞をあげないと・・・」と審査員団が考えてしまいかねないような人が続々と出現してきて・・・。ツァイ・ミンリャン監督作『Stray Dogs』は現地でかなり良い評価が出ているようだし、審査員団も賞の割り振りが一段と大変だよね。

ツァイ・ミンリャン監督作『Stray Dogs』は審査員大賞(Grand Jury Prize)を受賞しました。 (2013/09/07付け)




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宮崎駿監督、引退を正式発表「今回は本気です」|2013年09月06日

オリコンスタイル 2013年09月06日付け(14時14分)
宮崎駿監督、引退会見「今回は本気です」
現在公開中の映画『風立ちぬ』をもって長編映画からの引退を発表した宮崎駿監督(72)が6日、都内で会見を開き、自らの口で引退を報告した。無数のフラッシュを浴びながら登壇した宮崎監督は「何度と辞めようと言って騒ぎを起こしてきました人間ですが、今回は本気です」と笑みを浮かべながら決意をにじませた。



NHKニュース 2013年9月6日付け (14時18分)
宮崎駿監督 引退を正式発表
引退を決めた理由について「(最新作の)『風立ちぬ』は(前作の)ポニョから5年かかっている。次の作品を考えると5年じゃすまない。6年か、7年か」と述べ、年齢を重ねるごとに創作にかかる時間が伸びていることが背景にあることを明らかにしました。また、現在館主を務めている東京・三鷹市の三鷹の森ジブリ美術館での仕事には、今後も「関わっていく」と述べました。会見場にはアメリカやフランス、ロシア、中国、韓国など、海外のメディアも含め、およそ600人が訪れ、関心の高さがうかがえます。



映画.com 2013年9月6日付け(15:40)
「ぼくは自由です」宮崎駿監督、長編作品引退に関する「公式引退の辞」を発表
【公式引退の辞】 ぼくは、あと10年は仕事をしたいと考えています。自宅と仕事場を自分で運転して往復できる間は、仕事をつづけたいのです。その目安を一応“あと10年”としました。 もっと短くなるかもしれませんが、それは寿命が決めることなので、あくまでも目安の10年です。 ぼくは長編アニメーションを作りたいと願い、作って来た人間ですが、作品と作品の間がずんずん開いていくのをどうすることもできませんでした。要するにノロマになっていくばかりでした。 “風立ちぬ”は前作から5年かかっています。次は6年か、7年か……それではスタジオがもちませんし、ぼくの70代は、というより持ち時間は使い果されてしまいます。 長編アニメーションではなくとも、やってみたいことや試したいことがいろいろあります。やらなければと思っていること――例えばジブリ美術館の展示――も課題は山ほどあります。 これ等は、ほとんどがやってもやらなくてもスタジオに迷惑のかかることではないのです。ただ家族には今までと同じような迷惑をかけることにはなりますが。 それで、スタジオジブリのプログラムから、ぼくをはずしてもらうことにしました。 ぼくは自由です。といって、日常の生活は少しも変わらず、毎日同じ道をかようでしょう。土曜日を休めるようになるのが夢ですが、そうなるかどうかは、まぁ、やってみないと判りません。 ありがとうございました。



シネマトゥデイ 2013年9月6日付け(16時17分)
長編引退の宮崎駿、今後はジブリ作品にタッチせず!次はアニメではないものに挑む
「僕は自由です。やってもやらなくても自由なので、今は前からやりたいと思っていることをやろうと思います。それはアニメーションではありません」と今後の活動について語った宮崎監督。だが、その詳細について問われると、「やりたいことはあるんですけど、やれなかったらみっともないので言いません」と沈黙を貫いた。



ワイドショーを見るのは何年ぶりだろう。特に午後の時間帯なんて十数年ぶりだと思う。

三鷹の森ジブリ美術館にある展示物(絵)が色褪せてきているので当面はそれを描き替えていきたい、とのこと。今のところアニメーション(動画)を作る意欲は無いようですが、でもアニメーション(動画)から完全に手を引くというニュアンスでもなかったですね。(ああ、確かにこうも言ってたなあ。でも別の質問のときはアニメーションは二度とやらないというふうでもなく「どうなるかはわからない」、みたいな感じだったけどなあ。) 車の運転が出来る限りは毎日スタジオへ通う、と言っていたし、しばらくし気力体力が満ちてきたらまたアニメーション(動画)を作るかもしれませんよ。ただ、動画より静止画?のほうへ気持ちが動いていっているのかなあ、という感じ。 

ただし、後進の作品に関わっていくという気は無い、ときっぱり宣言。そのうえで「重しとなっていたもの(つまり自分)が退いたので、後進の人たちから『こういうものをやってみたい』とプロデューサーのほうへ申し出てきてほしい」とはっきり語っていました。この台詞を聞けてよかったです。宮崎駿監督も後進が萎縮しているということは気にしていたんですね。

「一線からは引き、今後はまだ未定なことも多いけど、とりあえず "健康的なご隠居生活" に入る」ということでしょう。肩の荷が下りたような朗らかな様子で語っていました。長いあいだ、お疲れ様でした。もしかしたら深刻な健康問題でもあるのかと思っていましたが、そういうことではない様子。サバサバとした明るい表情で語るのをみてホッとしました。

● 日本の記者は玉石混淆なんだな、とつくづく。 最初の2名はダメでしたね。質問開始初っ端でいきなりあんな質問(「ジブリ作品を楽しみに見てきた子供たちへのメッセージは?」「『風の谷のナウシカ』の続編を作る気はあるのか?」)しちゃうんだから。(ちなみに、ナウシカの続編を作る気はありません、とのこと。) そこへいくと一般紙の記者は"腐っても鯛"といいましょうか、まずは世間が気にしていること(短編作品なら作る気があるのか?)をしっかり質問していました。

あと、外国人記者からの質問も興味深かったですね。
(以下、質問内容は正確ではありませんが大体こんな趣旨の質問でした。)

台湾の記者から
「台湾にも宮崎作品のファンがたくさんいる。台湾を訪問して台湾のファンと(ひいては、台湾以外の他国を訪問し、その国のファンと)交流するということは今後あるのか?」

韓国の記者から
「戦争と戦闘機に関するコメントを再度お願いしたい」

ロシアの記者から
「宮崎作品にロシア人の映像作家(名前は・・・記者さんは固有名詞をきちんと言っていましたが・・・失念/2013/09/07 追記:ユーリ・ノルシュテイン監督でした。)の影響を感じるが、その点はどうなのか」

イタリアの記者から
「宮崎作品には"イタリア"が頻繁に登場する。イタリアは好き?」「半藤一利さんは宮崎監督より10歳ほど先をいっている。(半藤一利さんは83歳) 宮崎監督は半藤さんを目指すべきでは?」


日本の記者も良い質問している方がいましたよ。
フジテレビ『アゲるテレビ』
「今までにも引退するという発言があったが、今までのと今回とは何が違うのか?」

どこ所属の記者か失念
「今後、ジブリでのアニメ製作はどうなるのか?」(鈴木Pからの答え:「高畑監督作の公開も控えているし、来年公開予定の作品も製作中。)


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(2015/07/10 追記)


ハヤヲ、映画(短編)作るってよ。


朝日新聞デジタル 2015年7月10日付け記事
宮崎駿監督、短編を制作中 ジブリ美術館用の初CG作品( ttp://www.asahi.com/articles/ASH7B5RS5H7BUCVL01G.html?iref=comtop_photo )


やっぱり止められるわけない。どうにもならないような健康上の理由が無い限り、アニメ作りを止めるわけない。



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2013年ロンドン映画祭:コンペティション3部門のラインナップ&ベスト・ブリティッシュ・ニューカマー賞のノミニー

2013年ロンドン映画祭(BFI London Film Festival)のコンペティションのある3部門のラインナップとベスト・ブリティッシュ・ニューカマー賞のノミニーです。

BFI は British Film Institute(=英国映画協会)の略式表記。英国映画協会は1933年設立。



● 公式サイト内での発表 (2013/09/04付け)
 57th BFI London Film Festival programme revealed



2013年(第57回)ロンドン映画祭は(現地日付で)2013年10月09日(水)から10月20日(日)まで開催の予定です。



● ロンドン映画祭 公式サイト(トップページ) BFI London Film Festival

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2013年(第57回)ロンドン映画祭 ラインナップ
(BFI London Film Festival)



オフィシャル・コンペティション Official Competition


Abuse of Weakness
原題:Abus de Faiblesse
監督  カトリーヌ・ブレイヤ Catherine Breillat
製作国 フランス / ベルギー / ドイツ




嗤う分身
英題:The Double
監督  リチャード・アイオアディ Richard Ayoade
製作国 イギリス




イーダ
英題:Ida
原題:Siostra milosierdzia
監督  パヴェウ・パヴリコフスキ Pawel Pawlikowski
製作国 ポーランド




そして父になる
英題:Like Father, Like Son
監督  是枝裕和 Hirokazu Kore-eda
製作国 日本




めぐり逢わせのお弁当
英題:The Lunchbox
原題:Dabba
監督  リテシュ・バトラ Ritesh Batra
製作国 インド / フランス / ドイツ




Of Good Report
監督  Jahmil X.T Qubeka
製作国 南アフリカ




パークランド――ケネディ暗殺、真実の4日間
英題:Parkland
監督  ピーター・ランデズマン Peter Landesman
製作国 アメリカ




Rags & Tatters(Rags and Tatters) 
原題:Farsh wa ghata
監督  アハマド・アブダラ Ahmad Abdalla
製作国 エジプト




The Selfish Giant
監督  クリオ・バーナード Clio Barnard
製作国 イギリス




名もなき塀の中の王
英題:Starred Up
監督  デヴィッド・マッケンジー David Mackenzie
製作国 イギリス




トム・アット・ザ・ファーム
英題:Tom at the Farm
原題:Tom à la ferme
監督  グザヴィエ・ドラン Xavier Dolan
製作国 カナダ / フランス




奇跡の2000マイル
英題:Tracks
監督  ジョン・カラン John Curran
製作国 豪州 / イギリス




アンダー・ザ・スキン 種の捕食
英題:Under The Skin
監督  ジョナサン・グレイザー Jonathan Glazer
製作国 アメリカ / イギリス


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第一回監督作コンペティション(=新人監督部門コンペ) 
First Feature Competition


B for Boy
監督  チカ・アナドュ Chika Anadu
製作国 ナイジェリア




Hide Your Smiling Faces
監督  ダニエル・パトリック・カルボーン Daniel Patrick Carbone
製作国 アメリカ




イロイロ ぬくもりの記憶
英題:Ilo Ilo
原題:爸妈不在家
監督  アンソニー・チェン Anthony Chen
製作国 シンガポール




キル・ユア・ダーリン
英題:Kill Your Darlings
監督  ジョン・クロキダス John Krokidas
製作国 アメリカ




The Long Way Home
原題:Eve Dönüs: Sarikamis 1915
監督  Alphan Eseli
製作国 トルコ




Luton
監督  Michalis Konstantatos
製作国 ギリシャ




サルヴォ(←2014イタリア映画祭時の邦題)
原題:Salvo
監督  ファビオ・グラッサドニア Fabio Grassadonia
    アントニオ・ピアザ Antonio Piazza
製作国 イタリア / フランス




Sarah Prefers to Run
仏題:Sarah préfère la course
監督  クロエ・ ロビショウ Chloé Robichaud
製作国 カナダ




Sixteen
監督  ロブ・ブラウン Rob Brown
製作国 イギリス




Trap Street
監督  Vivian Qu
製作国 中国




Wounded
原題:La herida
監督  フェルナンド・フランコ Fernando Franco
※ フェルナンド・フランコ……映画『ブランカニーヴス』(2012年)の編集者
製作国 スペイン




若さ(←2013年東京フィルメックス時の邦題)
英題:Youth
ヘブライ語題:Hanoar
監督  トム・ショヴァル Tom Shoval
製作国 イスラエル / ドイツ / フランス


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ドキュメンタリー・コンペティション Documentary Competition


Aatsinki: The Story of Artic Cowboys
監督  ジャシカ・オレック Jessica Oreck
製作国 フィンランド / アメリカ




ランス・アームストロング ツール・ド・フランス7冠の真実
英題:The Armstrong Lie
監督  アレックス・ギブニー Alex Gibney
製作国 アメリカ




At Berkeley
監督  フレデリック・ワイズマン Frederick Wiseman
製作国 アメリカ




キューティー&ボクサー
英題:Cutie and the Boxer
監督  ザッカリー・ハインザーリング Zachary Heinzerling
製作国 アメリカ
※ "ボクシング・ペインティング"で知られる81歳の現代芸術家・篠原有司男とその妻である乃り子を追ったドキュメンタリー。




Here Be Dragons
監督  マーク・カズンズ Mark Cousins
製作国 イギリス




仏題:La Maison de la radio
監督  ニコラ・フィリベール Nicolas Philibert
製作国 フランス / 日本




Manhunt
監督  グレッグ・バーカー Greg Barker
製作国 アメリカ / イギリス / アフガニスタン




消えた画 クメール・ルージュの真実
英題:The Missing Picture
原題:l'image manquante
監督  リティー・パニュ Rithy Panh
製作国 フランス / カンボジア




My Fathers, My Mother and Me
原題:Meine Keine Familie
監督  Paul-Julien Robert
製作国 オーストリア




Pipeline
原題:Truba
監督  ヴィタリー・マンスキー Vitaly Mansky
製作国 ロシア / ドイツ / チェコ共和国




Teenage
監督  マット・ウルフ Matt Wolf
製作国 アメリカ




Ukraine is Not a Brothel
原題:Ukraina Ne Bordel
監督  キティ・グリーン Kitty Green
製作国 豪州 / ウクライナ


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ベスト・ブリティッシュ・ニューカマー(英国新人) Best British Newcomer
※ ベスト・ブリティッシュ・ニューカマー賞は、イギリスの新人映画製作者(脚本家 / 俳優 / プロデューサー / 映画監督)に与えられる。


コナー・チャップマン Conner Chapman(男優)
作品:The Selfish Giant




ショーン・トーマス Shaun Thomas(男優)
作品:The Selfish Giant




Destiny Ekaragha(映画監督)
作品:Gone Too Far!




ロブ・ブラウン Rob Brown(映画監督)
作品:Sixteen




・ジャック・フィッシュバーン Jack Fishburn(プロデューサー)
・Muireann Price (プロデューサー)
作品:Love Me Till Monday




ジョナサン・アッセル Jonathan Asser(脚本家)
作品:名もなき塀の中の王
英題:Starred Up



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2013アカデミー賞外国語映画賞:チリからの出品作が決定(『グロリアの青春』)

チリ代表作は2013年ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(女優賞)はじめ3賞を受賞した『グロリアの青春』になりました。



チリからの出品作
グロリアの青春
原題|Gloria
監督|セバスティアン・レリオ Sebastián Lelio
製作国|チリ / スペイン


IMDb|Gloria (2013)
http://www.imdb.com/title/tt2425486/




Gloria - Trailer


1:12あたりから始まる曲はウンベルト・トッツィ(Umberto Tozzi)の「Gloria」(1979年)




Gloria - US Trailer


北米版のトレーラーのほうが楽しそうな作品に思える。本編が見たくなるトレーラーはこっちかな。




『グロリアの青春』日本版予告編





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