2013アカデミー賞外国語映画賞:ニュージーランドからの出品作が決定

2013年トロント国際映画祭コンテンポラリー・ワールド・シネマ部門へ選出されている、マオリ語がメインの映画『White Lies(英題)』がニュージランドから出品されることになりました。

ウィティ・イヒマエラ(Witi Ihimaera)の小説が原作。ウィティ・イヒマエラの小説『クジラの島の少女』(英題|The Whale Rider)は2002年に映画化されました。


ウィキペディアによると「マオリ(Māori)は、アオテアロア(ニュージーランド)にイギリス人が入植する前から先住していた人々で、形質的・文化的にはポリネシア人の一派をなす」とのこと。


ニュージーランドは英語圏ですがニュージーランドや豪州やイギリスのような英語圏の国でも "英語以外の言語" を使った映画であれば代表作として出品することは可能です。



ニュージーランドからの出品作
White Lies
マオリ語題|Tuakiri Huna
監督|ダナ・ロットバーク Dana Rotberg


IMDb|White Lies
http://www.imdb.com/title/tt2386257/



White Lies | Tuakiri Huna - Theatrical Trailer (NZ)





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2020年夏季五輪、開催地は東京に決定



日本は1964年夏季東京大会、1972年冬季札幌大会、1998年冬長野季大会に次いで、4度目の五輪を開催することとなる。また、2018年の冬季大会が韓国の平昌(Pyeongchang)で開催されるため、2大会連続でアジア圏での五輪が実現することとなった。


● オリンピックは "後進だけど振興の兆しがある国" で行うのが良いと思うので、イスタンブールの落選はちょっと残念。中東地域の異国情緒のあるオリンピックも見たかったな。でも周辺諸国を含め国情の不安定さが一番のネックだったということよね。スペイン:マドリッドも五輪特需は欲しかったでしょうね。経済が疲弊し "国家の倒産" 間近とも言われている中で3回落選ということで招致活動で今までに費やしたお金のことを考えればスペインの国内情勢も不穏なことになるかもね。

● これで福島の放射能漏れの手当が進むであろうことは喜ばしいこと。総理大臣が全世界に向けて「福島の件はコントロールができている」なんてことを宣言したんだから "世紀の大嘘つき・日本" にならないためにも必死でやらざるを得ない。(海外メディアはどんどん取材にきてこの問題を追求してほしい。国内のメディアは五輪の恩恵に預かる側なので、期待できない。)  ぼろぼろになっている首都高の建て替えもこれを口実に進むだろうし。いずれにしても五輪特需で臨時雇用も増えて、2020年までは食いつなげる。(そのあとは巨大な赤字が残る、と。)

● このオリンピックの財源はどうするの? 東京都だけじゃ当然賄いきれないでしょ。都民税値上げ程度で済む? "都が負担しきれないぶんは最終的には政府は負担する" とNHKのニュースで言っていたけれど、それはすなわち国民全員が負担するということ。 国民総動員で税金を収めることになるんでしょ? 消費税20%くらいになるよ。あと、特に都内の交通違反の取締りもきつくなる。罰則金徴収して道路周辺の整備費に充てられる。(長野オリンピック時がそうだった。やたらスピード違反や一時停止違反の取締りが増えた、と多くの地元民が語っていた。)

● 開会式の演出、誰がやるの?北京五輪のチャン・イーモウやロンドン五輪のダニー・ボイルのような演出が出来る人、いる? ダニー・ボイルは体制(支配者)側の金を使って"労働者(支配される側)万歳!"の演出をしてみせた人だけど、そういうしたたかさのある人、日本には・・・。 

● 予算的にも人的にもある程度でかい規模の仕事を仕切ったことのある人でないと・・・映画界から出るとすれば三池崇史の一択? ああ、大友啓史とか?NHK出身だからこういう国家的プロジェットにコネが効きそうだし。 演劇界からは誰? 舞台演劇のことはよくわからない。宮本亜門とか野田秀樹? 2020年には、三池崇史さんは60歳 / 宮本亜門さんは62歳 / 野田秀樹さんは64歳、か・・・理想とすれば2020年時に50代の人がいいよね。・・・となると、誰? 大友さんは2020年に54歳だ。 とにかく長野冬期五輪のような弾まないダメダメ演出は2020東京五輪ではやめてね。 (2013/09/09 追記) 中島哲也監督・・・ああ、そうでした、いいねえ。中島哲也さんは2020年時には60歳。 ドキュメンタリーは・・・NHKでやるんじゃない? 第二班として、どこか海外のドキュメンタリー・チームにお願いしておけば万全。

● クール・ジャパンだのなんだので、オタク向けアニメとかダンシング・ドールみたいなクチパク・アイドルとか登場するのかね。 ひょろひょろした小柄な若手男性アイドル・グループとか日焼けマシーンで肌を焼きまくったようなダンシング・ボーカル・グループとか。 その小柄な男性アイドルたちが胸をはだけてワーヤーで吊られて空中を飛ぶ、とか、制服もどきの衣装でスカートの中身をチラチラ見せながら集団で踊るとか。(そんなのやったら児童ポルノ規制に抵触しかねない。) それを想像すると・・・・・ああっ。アジア地域にしか通用しないような演出は出来ればやめてほしいなあ。 あと、声量の有るボーカリストの育成も急務だわよ。 開会式とか閉会式とかで歌とか歌うんでしょ? どうするの? 大音量で歌える人、今、いる? 

● 五輪特需が期待できる人々は喜んでるみたい。私が東京五輪の恩恵を被れるとすれば、ほどよい時間帯にTVで競技を見ることが出来るということ、くらいか。家族が勤めている先にも五輪特需があるかもしれないけれど、末端の社員がその恩恵に預かれるかどうかといえば(今までのことを考えれば)殆ど無いと思う。 東京だけがワイワイ大騒ぎで地方民は「・・・(しらけ)・・・」みたいなことになるのかも。(東京発のTVや報道機関は盛り上がり、それを見ている大多数の地方民はどっちらけ、という図式はいままでもにもよくあったこと。) 東日本大震災の復興名目で立候補したんだから復興のためになるような五輪にして欲しいけど。 "子供たちに夢と希望を!" という、有無をも言わせぬスローガンがすでに世の中を席巻しているけど、特需が済んだあとの大赤字はその子供たちに残される。 個人的には、人で混み合い物価も高くなるであろう関東に東京五輪の時期に転勤にならないことを祈るばかりなり。

● 馬場馬術とかは生で見てみたいなあ。でも、今でも混んでいるのにもっと混むんでしょうね、都内は。それを考えると・・・TVでいいか。 関東はちょっとの雨でも電車が止まってしまうような脆弱な交通網だけど大丈夫なのかな。観戦客が増え、道路も電車もさらに混み混み。ああ、恐ろしや。

● 駒沢体育館へ集まっていた若い人たちはどういう人たちなの?動員をかけられ集まった(つまりサクラ)なんだろうけど、よくある「感動しました!」「よかったです!」って映画館へ来たお客さん(もしくはお客さん風の人)に言わせてるCMみたいな雰囲気があった。 やらされている感。 周囲の印象を気にしながら盛り上がっている(つまり、空気読んでる)感。 あれが今どきの "平均的で良心的な若い人の姿" なのだろうか。

● 今はこんなでも2020東京五輪直前になれば前向きに楽しもうという気も起きてくるはず。 いろいろ言ったところでつまるところ、精神的な部分もしくは経済的な部分でどの程度恩恵を被れるか / 恩恵を被ったと感じられるどうか、だもんな。

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時事通信社 時事ドットコム 2013年09月08日付け (12:11)
最終プレゼンが勝因=IOC委員の評価-2020年五輪招致

最終プレゼンでの質疑応答で汚染水問題について質問したハイベルク委員(ノルウェー)は「風評が耳に入っており、誰かが聞かなくてはならなかった。首相は問題をきちんと理解し、答えは的確で、危険がないことが伝わった」と話した。コーツ理事(オーストラリア)も汚染水問題に対する説明に納得し、「マドリードは経済危機、イスタンブールには政情不安がある。IOCは安心して開催できる都市を選んだ」と分析した。パウンド委員(カナダ)は「東京が1回目の投票で勝つとさえ思っていたから驚きはないが、(60票を取った2回目の)大差にはびっくりした」と言う。また、失敗した16年五輪招致と比較し、「厳しい質問にも明確な英語で返していたし、あれほど感情に訴えた日本のプレゼンを見るのは初めてだった。勝利に値する」と、前回からの成長ぶりをたたえた。


プレゼンに加え、プレゼンに先駆けて行われた高円宮妃久子様の東日本大震災救援に対する御礼のスピーチが大変よかったことも良い影響があったと思う。久子様はスポーツ振興に長く取り組んでこられている事、そしてこういう国際的な大舞台に慣れていらっしゃるという事、語学が堪能で流麗なスピーチだった事が重なって、堂々たる美しさで素晴らしかった。

あと、猪瀬知事の例をみても分かる通りたとえ英語の発声が不正確も堂々とした態度で主張するということが重要なんだな、としみじみ。外国語を喋るときはハッタリを効かせるのが吉、ということよね。そりゃ正しく流麗にしゃべれたほうがいいけど、それが出来なくてもガンガン前に出ていけばOK、と。コントロール出来てないのに「福島の件はコントロール出来ている」と言い切るような厚顔でないと。でも日本人にはそこが一番苦手だったりして。



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2013年ベネチア国際映画祭:受賞結果発表

2013年ベネチア国際映画祭の受賞結果が発表されました。

2013年(第70回)ベネチア国際映画祭は2013年08月28日から09月07日まででした。


【参照】 
● ベネチア国際映画祭 公式サイト内
 Official Awards of the 70th Venice Film Festival

● In-Contention 
  2013 Venice Film Festival award winners



メイン・コンペティション
審査員長
  ベルナルド・ベルトルッチ Bernardo Bertolucci (イタリアの映画監督)
審査員
  アンドレア・アーノルド Andrea Arnold
    (イギリスの映画監督 / 脚本家)
  レナート・ベルタ Renato Berta
    (スイスの撮影監督)
  マルティナ・ゲデック Martina Gedeck
    (ドイツの女優)
  パブロ・ラライン Pablo Larraìn
    (チリの映画監督 / 脚本家 / プロデューサー)
  ヴィルジニー・ルドワイヤン Virginie Ledoyen
    (フランスの女優)
  坂本龍一 Ryuichi Sakamoto
    (日本の作曲家 / ミュージシャン / プロデューサー)
  チアン・ウェン(姜文) Jiang Wen
    (中国の男優 / 脚本家 / 映画監督)
  キャリー・フィッシャー Carrie Fisher
    (アメリカの女優 / 脚本家)


オリゾンティ部門
審査員長
  ポール・シュレイダー Paul Schrader (アメリカの脚本家 / 映画監督)
審査員
  カトリーヌ・コルシニ Catherine Corsini
    (フランスの映画監督)
  レオナルド・ディ・コスタンツォ Leonardo Di Costanzo
    (イタリアの映画監督)
  フレデリック・フォンテーヌ Frederic Fonteyne
    (ベルギーの映画監督)
  クセニア・ラパポルト Ksenia Rappoport
    (ロシアの女優)
  アムール・ワケド Amr Waked
    (エジプトの男優) 
  ゴルシフテ・ファラハニ Golshifteh Farahani
    (イランの女優)



● ベネチア国際映画祭 公式サイト(英語版トップページ)
  la Biennale di Venezia (Venice Film Festival)

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2013年(第70回)ベネチア国際映画祭 受賞結果
(la Biennale di Venezia / Venice International Film Festival)


(メイン)コンペティション部門 In Competition (Venezia 70)

金獅子賞 Golden Lion (Leone d'Oro)
ローマ環状線、めぐりゆく人生たち ※ ドキュメンタリー作品
原題:Sacro GRA
監督:ジャンフランコ・ロッシ Gianfranco Rosi
製作国:イタリア / フランス



銀獅子賞(監督賞) Silver Lion (Leone d’Argento)
Miss Violence
監督:アレクサンドロス・アブラナス Alexandros Avranas
製作国:ギリシャ



審査員大賞 Grand Jury Prize (Gran Premio della Giuria) ※ 今年度より新設。
郊遊<ピクニック>
 旧邦題(その1):郊遊<Jiao You>
 旧邦題(その2):ピクニック(←2013年東京フィルメックス時の邦題)
英題:Stray Dogs
原題:郊游 / Jiaoyou
監督:ツァイ・ミンリャン(蔡明亮) Ming-liang Tsai
製作国:台湾



ヴォルピ杯(男優賞) Coppa Volpi for the Best Actor
Themis Panou
  作品:Miss Violence
  監督:アレクサンドロス・アブラナス Alexandros Avranas
  製作国:ギリシャ



ヴォルピ杯(女優賞) Coppa Volpi for the Best Actress
エレナ・コッタ Elena Cotta
  作品:Castellana Bandiera Street
  原題:Via Castellana Bandiera
  監督:エンマ・ダンテ Emma Dante
  製作国:イタリア / スイス / フランス



マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)
Marcello Mastroianni Award (Premio Marcello Mastroianni) for Best New Young Actor or Actress
タイ・シェリダン Tye Sheridan
  作品:グランド・ジョー
  英題:Joe
  監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン David Gordon Green
  製作国:アメリカ



脚本賞 
Award for Best Screenplay (Premio per la miglior sceneggiatura)
スティーヴ・クーガン Steve Coogan
ジェフ・ポープ Jeff Pope
  作品:あなたを抱きしめる日まで
  英題:Philomena 
  監督:スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
  製作国:イギリス



審査員特別賞 Special Jury Prize (Gran premio della giuria)
警察官の妻(←ドイツ映画特集2014での邦題)
英題:The Police Officer's Wife
原題:Die Frau des Polizisten
監督  フィリップ・グレーニング Philip Gröning
製作国 ドイツ


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ルイジ・デ・ラウレンティス賞(新人監督が対象)
"Luigi de Laurentis" Award for a Debut Film
White Shadow  ※ 「批評家週間」エントリー作
監督:Noaz Deshe
製作国 イタリア / ドイツ / タンザニア


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オリゾンティ部門 Horizons – Premio orrizonti

オリゾンティ賞(作品賞)
Orizzonti Award for Best Film (Premio Orizzonti per il miglior film)
Eastern Boys
監督:Robin Campillo
製作国:フランス



オリゾンティ賞(監督賞)
Orizzonti Award for Best Director (Premio Orizzonti per la migliore regia)
※ 今年度より新設。
監督:ウベルト・パゾリーニ Uberto Pasolini
作品:おみおくりの作法
英題:Still Life
製作国:イギリス / イタリア



特別オリゾンティ審査員賞
Special Orizzonti Jury Prize (Premio Speciale della Giuria Orizzonti)
※ 今年度より新設。
Ruin
監督:Michael Cody
   Amiel Courtin-Wilson
製作国:豪州



特別オリゾンティ賞(革新的な内容に対して)
Special Orizzonti Award for innovative content (Premio Speciale Orizzonti per il contenuto innovativo)
予兆の森で(←アジアフォーカス・福岡国際映画祭2014時の邦題)
英題:Fish and Cat(Fish & Cat)
原題:Mahi Va Gorbeh
監督:シャーラム・モクリ Shahram Mokri
製作国:イラン



オリゾンティ短編映画賞
Orizzonti Award for Best Short Film (Premio Orizzonti per il miglior cortometraggio)
Kush (20分)
監督:Shubhashish Bhutiani
製作国:インド


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ベネチア・クラシックス賞 Venezia Classici Awards

ドキュメンタリー映画賞
Venezia Classici Award for Best Documentary on Cinema
Double Play: James Benning and Richard Linklater
監督:Gabe Klinger
製作国:アメリカ / ポルトガル / フランス



リストア映画(修復映画)賞
Venezia Classici Award for Best Restored Films
La proprietà non è più un furto (1973年)
英題:Property Is No Longer a Theft
監督:エリオ・ペトリ Elio Petri
製作国:イタリア / フランス


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ヨーロッパ短編映画賞2013 European Short Film 2013

Houses With Small Windows
監督:Bülent Öztürk
製作国:ベルギー


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名誉金獅子賞 The Golden Lion for Lifetime Achievement 2013
ウィリアム・フリードキン William Friedkin


Glory to the Filmmaker Award
エットーレ・スコラ Ettore Scola


ペルソール賞
アンジェイ・ワイダ Andrzej Wajda


L'Oréal Paris Award for Cinema - L'Oréal Paris Per Il Cinema Award 
(※「L'Oréal Paris(ロレアル パリ)」はスポンサー名)
ユージニア・コスタンティーニ Eugenia Costantini


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第70回ベネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)は7日閉幕し、地元イタリアのジャンフランコ・ロージ(Gianfranco Rosi)監督のドキュメンタリー作品『サクロ・グラ(Sacro Gra)』が、コンペティション部門20作の中から最高賞の金獅子賞に選ばれる意外な結果となった。 <中略> 『サクロ・グラ』は、金獅子賞を争ったドキュメンタリー2本のうちの1本。コンペ部門が記録映画を2本も受け入れたのは過去に前例がなく、ロージ監督は「非常に勇気ある行動」と評した。 <中略> 審査委員長を務めたイタリアの巨匠、ベルナルド・ベルトリッチ(Bernardo Bertolucci)監督は、「驚きを求めたわたしにとって、ロージ監督の映画は驚くべき作品だった。(金獅子賞は)審査員全員の選択だった」とコメント。「ロージ監督は(大道芸の)ワンマン・オーケストラのような独自の手法で、土星の輪のようにローマを取り囲む環状道路内の人々の群像をうまく描き出した」と称賛した。 イタリア人の金獅子賞受賞は、1998年のジャンニ・アメリオ(Gianni Amelio)監督の『いつか来た道』以来。

近年稀にみる「想定外の結果」。 だから、批評家たちの評価から成る下馬評はそうあてにはならないのですよ。決めるのは審査員団だから。


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シネマトゥデイ 2013年09月08日付け
坂本龍一、ベネチアの審査は紛糾!金獅子賞なしの案も…ハードな審査員体験明かす【第70回ベネチア国際映画祭】

今年のコンペ作20本の内容は多くがドメスティックバイオレンスに殺人など、暴力に溢れていた。「世界的に顕著な傾向なのかもしれないが、皆が憂鬱(ゆううつ)にさせられました。暴力はストーリー性だけでなく、刺激的な映像や音の暴力性もあった。僕は音楽が映画の質を代弁していると思っているので、音楽がダメならNOと主張していました」 <中略> 加えて、開幕日にベルトルッチ監督が審査基準に対して“驚きを与えてくれる映画”と答えていたが、「それほど驚きのある映画、特別秀でた映画はなかった」という。

ゆえに審査は約4時間に及んで紛糾し、一時は金獅子賞の該当作を無くし、銀獅子を5作ぐらいに与えようという案もあったという。「今回経験してわかったのは、審査委員長やメンバーによって受賞作品の傾向がかなり変わるということ。僕はデビュー作とか最後の作品だから特別な目で観てあげようということはしたくなく、他の情報は入れずに、自分の目と耳を信じて客観的に判断したい方。でもそうではなく、情報に影響されてしまった人もいましたね」 続けて「自分がこの作品に賞を与えることで、自国でどう受け取られるのか? と気にする人や、自国の監督に厳しい人もいました。 その度に『映画はユニバーサルな価値が大切なんだ』という話し合いになる。それが行ったり来たりしていた」。


確かに、開幕後しばらくして「今年のベネチアはウイーク(弱い)」という言説を見かけました。アメリカの有力なエントリー候補作数本に出品を断られたという影響が大きかったのではないかと推測します。

審査過程のこういう実情が聞けるというのも日本人が審査員団に入っているから。そうでないとなかなか日本語の記事になってきません。たいへん興味深い内容です。

"自国の監督に厳しい人" というのはイギリスのアンドレア・アーノルドかなあ。金獅子賞筆頭候補だったイギリスの『あなたを抱きしめる日まで』(英題:Philomena)は結局脚本賞受賞でした。アンドレア・アーノルドの作風とスティーヴン・フリアーズ監督の作風は相容れない感じだもんね。 もうひとつのイギリス作品『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(英題:Under The Skin)も評価はよかったけど受賞はなかったしなあ。

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メイン・コンペティション部門へピックアップされていた宮崎駿監督作『風立ちぬ』とオリゾンティ部門へピックアップされていた園子温監督作『地獄でなぜ悪い』はともに受賞を逃しました。 

『風立ちぬ』はベネチア国際映画祭の数ある併設賞でも何一つ受賞出来てなかったので、その時点で「こりゃ望み薄だわね」という感じでしたが、結局そういうこと(=受賞無し)になりました。 "お義理で受賞出来た" と言われるよりは無冠で終わったほうがいいのかも。とにかく話題にはなったので、たとえ無冠でも興行の後押しには効果はあったでしょう。 



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2013ヴェネツィア国際映画祭
2013ヴェネチア国際映画祭
2013ベネツィア国際映画祭
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2013年ベネチア国際映画祭:Collateral Prizes (併設賞) 受賞結果

2013年ベネチア国際映画祭 Collateral Prizes(併設賞)の受賞結果が発表になりました。

● 金獅子賞などオフィシャルな賞の受賞結果は こちら に載せてあります。


2013年(第70回)ベネチア国際映画祭は2013年08月28日から09月07日まででした。

【参照】 ベネチア国際映画祭 公式サイト内
Collateral awards of the 70th Venice Film Festival


● ベネチア国際映画祭 公式サイト(英語版トップページ)
  la Biennale di Venezia (Venice Film Festival)

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2013年(第70回)ベネチア国際映画祭 Collateral Prizes (併設賞)
la Biennale di Venezia / Venice International Film Festival

● 金獅子賞などオフィシャルな賞の受賞結果は こちら に載せてあります。



ベネチア国際映画祭:国際映画批評家連盟賞 FIPRESCI Award
● メイン・コンペティション(Venezia 70)部門より
 トム・アット・ザ・ファーム
  英題:Tom at the Farm
  原題:Tom à la ferme 
  監督  グザヴィエ・ドラン Xavier Dolan
  製作国 カナダ / フランス


● 「オリゾンティ」部門と「批評家週間」部門より
 The Reunion   ※ 「批評家週間」部門エントリー作
  原題:Återträffen
  監督  Anna Odell
  製作国 スウェーデン


SIGNIS Award
あなたを抱きしめる日まで
英題:Philomena 
監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
製作国 イギリス

  SIGNIS Award - スペシャル・メンション SIGNIS Award - Special Mention
    Ana Arabia
    監督  アモス・ギタイ Amos Gitai
    製作国 イスラエル / フランス


Leoncino d'Oro Agiscuola per il Cinema Award
ローマ環状線、めぐりゆく人生たち
原題:Sacro Gra 
監督  ジャンフランコ・ロッシ Gianfranco Rosi
製作国 イタリア

   Cinema for UNICEF mention 
    あなたを抱きしめる日まで
    英題:Philomena 
    監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
    製作国 イギリス


Francesco Pasinetti (SNGCI) Award
● 最優秀作品 Best film
  おみおくりの作法
  英題:Still Life
  監督 ウベルト・パゾリーニ Uberto Pasolini

● 最優秀俳優 Best Actor
  ・エレナ・コッタ Elena Cotta
  ・アルバ・ロルヴァケル Alba Rohrwacher
  ・アントニオ・アルバネーゼ Antonio Albanese
   作品:Castellana Bandiera Street 
      原題:Via Castellana Bandiera

● スペシャル・メンション Special Mention
  ・マリア・ロザリア・オマジオ Maria Rosaria Omaggio
    作品:Walesa. Man of Hope
  ・Il terzo tempo
    監督:Enrico Maria Artale


Brian Award
あなたを抱きしめる日まで 
英題:Philomena 
監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
製作国 イギリス


クィアライオン賞(クィア獅子賞) Queer Lion Award
あなたを抱きしめる日まで 
英題:Philomena 
監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
製作国 イギリス


Arca CinemaGiovani Award
● メイン・コンペティション(Venezia 70)部門より Best Film of Venezia 70
  Miss Violence
   監督  アレクサンドロス・アブラナス Alexandros Avranas
   製作国  ギリシャ

● 最優秀イタリア映画 Best Italian film
  The Art of Happiness  ※「批評家週間」エントリー作 
   原題:L'arte della Felicità
   監督  Alessandro Rak
   製作国 イタリア


CICT - UNESCO “Enrico Fulchignoni” Award
At Berkeley
監督 フレデリック・ワイズマン Frederick Wiseman


Christopher D. Smithers Foundation Award
Joe
監督  デヴィッド・ゴードン・グリーン David Gordon Green
製作国 アメリカ


CICAE - Cinema d’Arte e d’Essai Award
おみおくりの作法
英題:Still Life
監督 ウベルト・パゾリーニ Uberto Pasolini


FEDIC Award
Zoran, My Nephew the Idiot ※「批評家週間」エントリー作
原題:Zoran, il mio nipote scemo
監督  マッテオ・オレオット Matteo Oleotto
製作国 イタリア / スロベニア

   スペシャル・メンション Special Mention
    The Art of Happiness
     原題:L'arte della Felicità
     監督  Alessandro Rak
     製作国 イタリア


Fondazione Mimmo Rotella Award
The Intrepid
原題:L'Intrepido
監督  ジャンニ・アメリオ Gianni Amelio
製作国 イタリア


Future Film Festival Digital Award
ゼロ・グラビティ ※ コンペティション外部門
英題:Gravity 
監督  アルフォンソ・キュアロン Alfonso Cuarón
製作国 アメリカ / イギリス

  スペシャル・メンション Special Mention
   ゼロの未来
   英題:The Zero Theorem
   監督  テリー・ギリアム Terry Gilliam
   製作国 イギリス / アメリカ / ルーマニア



P. Nazareno Taddei Award
あなたを抱きしめる日まで
英題:Philomena 
監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
製作国 イギリス


Lanterna Magica (CGS) Award
The Intrepid
原題:L'Intrepido
監督  ジャンニ・アメリオ Gianni Amelio


Open Award
監督 Serena Nono
作品:Venezia salva ※「ヴェニス・デイズ」出品作


Lina Mangiacapre Award
Castellana Bandiera Street
原題:Via Castellana Bandiera
監督  エンマ・ダンテ Emma Dante
製作国 イタリア / スイス / フランス

  スペシャル・メンション Special Mention
   ・Traitors
      監督:ショーン・ガレット Sean Gullette

   ・フェメン(FEMEN)の活動家たち(作品:Ukraine Is Not a Brothel)
      the Femen’s activists of "Ukraine Is Not a Brothel”
      監督 Kitty Green


Mouse d'Oro Award
● メイン・コンペティション部門 Mouse d'oro for the best film of Venezia 70
  あなたを抱きしめる日まで
   英題:Philomena 
   監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
   製作国 イギリス

● コンペティション外部門 Mouse d'argento for the best out of competition film
  At Berkeley
   監督 フレデリック・ワイズマン Frederick Wiseman

● スペシャル・メンション Special Mention Mouse d’Oro
  郊遊<ピクニック>
   英題:Stray Dogs
   原題:郊游 / Jiaoyou
   監督  ツァイ・ミンリャン(蔡明亮) Ming-liang Tsai
   製作国 台湾

● スペシャル・メンション Special Mention Mouse d’Argento
  Die andere Heimat - Chronik einer Sehnsucht
   監督 エドガー・ライツ Edgar Reitz


UK - Italy Creative Industries Award – Best Innovative Budget Award
・Il terzo tempo
   監督:Enrico Maria Artale

・Medeas
  監督:Andrea Pallaoro

・Kush
  監督:Shubhashish Bhutiani


Gillo Pontecorvo Award – Arcobaleno Latino
● Best romance language movie
  Con Il Fiato Sospeso ※ コンペティション外部門
   原題:Con Il Fiato Sospeso
   監督  Costanza Quatriglio
   製作国 イタリア

● Gillo Pontecorvo Award – Arte e Industria
  Walter Veltroni


Young Jury Members of the Vittorio Veneto Film Festival
あなたを抱きしめる日まで
英題:Philomena 
監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
製作国 イギリス

  スペシャル・メンション(第一回監督作品に対して) Special Mention for a debut film
   Castellana Bandiera Street
    原題:Via Castellana Bandiera
    監督  エンマ・ダンテ Emma Dante
    製作国 イタリア / スイス / フランス


“Civitas Vitae prossima” Award
おみおくりの作法
英題:Still Life
監督 ウベルト・パゾリーニ Uberto Pasolini


Green Drop Award
Ana Arabia
監督  アモス・ギタイ Amos Gitai
製作国 イスラエル / フランス


Soundtrack Stars Award
● Best Soundtrack Award
  Castellana Bandiera Street
   原題:Via Castellana Bandiera
   監督  エンマ・ダンテ Emma Dante
   製作国 イタリア / スイス / フランス

  スペシャル・メンション(最優秀現代俳優に対して) 
  Special Mention for Best Contemporary Actor
   坂本龍一 Ryuchi Sakamoto


Schermi di Qualità Award
Zoran, My Nephew the Idiot ※「批評家週間」エントリー作
原題:Zoran, il mio nipote scemo
監督  マッテオ・オレオット Matteo Oleotto
製作国 イタリア / スロベニア


Ambiente WWF Award 
アマゾン大冒険~世界最大のジャングルを探検しよう!~※ コンペティション外(特別上映作)
英題:Amazonia 監督  ティエリー・ラコベール Thierry Ragobert
製作国 フランス / ブラジル


RaroVideo – International Critics’ Week Award
Zoran, My Nephew the Idiot ※「批評家週間」エントリー作
原題:Zoran, il mio nipote scemo
監督  マッテオ・オレオット Matteo Oleotto
製作国 イタリア / スロベニア


Label Europa Cinemas Award
● 最優秀ヨーロッパ映画 
 Best European Movie from the Giornate degli Autori – Venice Days
La Belle Vie   ※ 「ベニス・デイズ(Venice Days)」エントリー作  
監督  Jean Denizot
製作国  フランス

  スペシャル・メンション Special Mention
   Alienation
    原題:Otchuzhdenie
    監督:Milko Lazarov


Fedeora Awards
● 最優秀作品 Best Film
  Bethlehem
  監督:Yuval Adler

● 最優秀新人監督(第一回監督) Best director of a debut film
  監督:Milko Lazarovr
   作品:Alienation  原題:Otchuzhdenie

● スペシャル・メンション Special Mention
  La belle vie
  監督:Jean Denizot


2013年ベネチア国際映画祭 併催「批評家週間」:受賞結果
Settimana Internazionale della Critica – Venice International Film Critics Week
● 最優秀作品賞 Best Film
  Class Enemy  原題:Razredni sovražnik
  監督:Rok Biček
  製作国:スロベニア

● 最優秀撮影賞 Award for Best Cinematography
  撮影担当:Inti Briones
   作品:The Quispe Girls  原題:Las niñas Quispe
   監督:セバスチャン・セプルベダ Sebastián Sepúlveda (Sebastian Sepulveda)
   製作国:チリ / フランス / アルゼンチン

● スペシャル・メンション Special Mentiono
  ジュゼッペ・バッティストン(男優) Giuseppe Battiston, actor
   作品:Zoran, My Nephew the Idiot 原題:Zoran, il mio nipote scemo
   監督:マッテオ・オレオット Matteo Oleotto
   製作国:イタリア / スロベニア

● スペシャル・メンション Special Mention
   Anna Odell の完璧な創作活動に対して
   Anna Odell for complete author’s work in the film The Reunion
    作品:The Reunion 原題:Återträffen
    製作国:スウェーデン


Venezia 70
● 最優秀ユーロ-地中海作品賞 Award for Best Euro-Mediterranean film
  Miss Violence
  監督:アレクサンドロス・アブラナス Alexandros Avranas
  製作国:ギリシャ


Bianchi Award
Enzo D'Alò


INTERFILM Award for Promoting Interreligious Dialogue
あなたを抱きしめる日まで
英題:Philomena 
監督  スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
製作国 イギリス



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2013ヴェネツィア国際映画祭
2013ヴェネチア国際映画祭
2013ベネツィア国際映画祭
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