R.I.P.  Joan Fontaine ジョーン・フォンテイン (1917 – 2013)

享年96。

1941年『断崖』にてアカデミー賞主演女優賞を受賞。 ヒッチコック作品からアカデミー賞へのノミネートを果たした俳優は何人かいますが受賞したのはただ一人、ジョーン・フォンテインだけだそうです。 ジョーン・フォンテインは『レベッカ』(1940年)でも主演女優賞にノミネートされています。


断崖 (1941年)
Suspicion (1941) - Trailer


光る「グラス入りミルク」。 これ、エンディングがじんわりと怖いんだよなぁ。



この方のお姉さんはオリヴィア・デ・ハヴィランド(1939年『風と共に去りぬ』メラニー役)。 姉妹どちらも演技力がもあり大変お美しく、そしてどちらもアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。(姉のオリヴィア・デ・ハヴィランドは2度受賞。) そして、どちらも長生き。(オリヴィア・デ・ハヴィランドはフランスでご健在とのこと。)

でも姉妹は不仲で、それに関したエピソードを読むと結構心が冷えるのです。





これもいいよねえ。

『皇帝円舞曲』(1948年)

"I Kiss Your Hand Madam" scene from "The Emperor Waltz" (1948)


監督:ビリー・ワイルダー
出演:ビング・クロスビー
   ジョーン・フォンテイン

allcinemaに”ワイルダーにしては冴えのない喜劇だが…”なんて書いてありますが、そんなことはない。ミュージカルだから歌ったり踊ったりする間に多少間延びした感じを受けるかもしれませんが、映画自体は面白いですよ。クロスビー主演で「ダンス少なめ/歌唱中心」のミュージカルなのに、飽きを感じにくい魅力的な作品に仕上がっているのはビリー・ワイルダー監督だからこそ、ではないかと思います。 クロスビー、めちゃめちゃ良い声/フォンテイン、美しい/犬、可愛い/カラーの色合い、綺麗……みんなもっと見たらいいのに。 



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英国人の両親を持ち、日本で生まれたフォンテインさんは1919年に米国に移住し、姉のオリビア・デ・ハビランド(Olivia de Havilland)さんと共に女優を志した。アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)監督に見いだされ、女優として開花。同監督の『断崖(Suspicion)』でアカデミー主演女優賞を受賞した。ヒッチコック監督作品で主演女優賞を受賞したのはフォンテインさんただ1人。 姉のオリビアさんも『遥かなるわが子(To Each His Own)』などで2度主演女優賞を受賞。アカデミー賞史上、兄弟や姉妹がともに主演賞を受賞したのは、フォンテインさん姉妹だけだ。



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R.I.P.  Peter O'Toole ピーター・オトゥール (1932 – 2013)

享年81。
米国アカデミー賞に8回ノミネートされましたが結局受賞ならずで、名誉賞受賞のみ。英国アカデミー賞では『アラビアのロレンス』で受賞出来たのが救いです。


調べてみると、1962年『アラビアのロレンス』当時(公開時)は30歳でした。デビュー2年め、碧眼長身のイケメン、30歳でオスカー初ノミネートでは受賞は無理。米国アカデミー賞はルックスのいい才能ある若い男優には優しくありません。


候補がこういうメンツだし、そりゃもらえんわな。

1962年度 アカデミー賞主演男優賞  ★…受賞
  ★アラバマ物語       グレゴリー・ペック
    終身犯         バート・ランカスター
    酒とバラの日々     ジャック・レモン
    イタリア式離婚狂想曲  マルチェロ・マストロヤンニ
    アラビアのロレンス   ピーター・オトゥール



Lawrence of Arabia - Original 1962 Trailer


監督:デヴィッド・リーン

「砂漠は清潔だ」…砂漠を清潔だとか不潔だとかそういう観点で見たことが無かったのでこの台詞に驚いたことを思い出します。 それにしてもすごい画だねえ。画と音楽と俳優たちの三位一体。




『アラビアのロレンス』では無理だったとしてもせめてこれあたりでもらえてれば……。当時36歳かぁ。老成しているなあ。

『冬のライオン』(1968年) 

The Lion In Winter (1968) - Trailer


監督:アンソニー・ハーヴェイ

この勢いで演じてくるキャサリン・ヘプバーンと並んでしまうとやっぱ不利よねえ。見終わった後の印象としてどうしたってかすんでしまう。ピーター・オトゥール だって同じくらい迫力あったのになあ。 『チップス先生さようなら』でノミネートされた1969年度は『勇気ある追跡』のジョン・ウェインがいたし、めぐりあわせの悪さってのもあったんでしょうね。『勇気ある追跡』のジョン・ウェインは特にどうということもない”いつもの演技”だったように思いますけれど、たぶん「一度くらいはジョン・ウェインに受賞させなきゃいかん」というムードでもあったんでしょう。たぶんね。

オトゥール氏が40代から50代になる”ちょうどもらい頃”の年齢の時期(1970年代後半から1980年代前半くらい)に作品に恵まれなかったのがオスカーもらい損ねた原因かなあ。フィルモグラフィーを眺めているとそんなふうに思います。





これが好き。

『おしゃれ泥棒』(1966年) How to Steal A Million

How to Steal Million - Trailer


監督:ウィリアム・ワイラー





そうか、これにも出演していましたね。
『トロイ』……そういう映画もありました。すっかり忘れられた映画になりました。

Troy (2004) - Trailer


ピーター・オトゥールが出ているシーンは史劇らしさが感じられる映画。




ブラッド・ピット(アキレス役)とピーター・オトゥール(プリアモス役)


史劇における俳優の演技熟達度や訓練度合の違いを感じさせるシーン。違いがはっきり出ちゃったのでブラピにしたら気の毒なシーン。アメリカ俳優は史劇に合った演技を学ぶ機会があんまりないんでしょう。やっぱり王立演劇学校のあるイギリスは強いよなあ。




2006年度にも『ヴィーナス』で主演男優賞部門へノミネートされています。アカデミー賞の俳優部門ではあたかも高齢俳優に1枠用意されているかのようなノミネート結果になることも多いのですが、とはいえ高齢でも主演作があってしかもその主演としての出演作の存在がそれなりに周囲に認知されノミネートされるというのは知名度のあるキャリア豊富な老齢俳優といえども誰にでも起こることではないでしょう。オトゥール氏がアカデミー賞に8回もノミネートされたのに受賞出来ずにいるのを業界同業者たちはみんな気にしていたのは間違いないでしょう。チャンスさえあれば授与したいという気持ちが老齢俳優に対して投票するという行動に表れてくるのだと思います。

長いキャリア、お疲れさまでした。 ご冥福をお祈りします。



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