2015年度(第88回)アカデミー賞|ルール改定箇所、発表

映画芸術科学アカデミーの会長は、2015年6月23日に行われたアカデミー会員の会合にて改定された第88回アカデミー賞規則とそのキャンペーン規則を承認すると発表しました。


● 公式サイト内 プレスリリース (2015年06月24日付け)
 Awards Rules Approved For 88th Oscars[レジスタードトレードマーク]
( ttp://www.oscars.org/news/awards-rules-approved-88th-oscarsr )



主な改定箇所は以下の通り。

作品賞(プロデューサーに関して)
作品賞候補作としてノミネートされる作品のプロデューサーとしての資格を得るためには、アメリカ製作者組合賞(Producers Guild of America Award / PGA Award)作品賞の審査対象作品におけるプロデューサーとして資格を得ていていなければならないか、もしくは、アメリカ製作者組合に資格が無いと拒絶された場合にはそれに対し異議申し立てを訴えていなければなりません。アカデミー賞作品賞候補作としてノミネートされる作品のプロデューサーとしての資格があるかどうかはアカデミー賞の製作者分科会(Producers Branch) 執行委員会で最終的な決定を行います。

アカデミー賞作品賞はプロデューサーが受賞するもの。製作現場で実際に大きな役割を果たし”実働したプロデューサー”であるにも関わらず作品賞エントリーのためのクレジットから漏れてしまうケースが出ているため、不服申し立てが可能となるように変更された模様。アカデミーが最終的な決定権を持っているけれど、プロデューサー組合の意向がさらに重要視されていくのは必至。作品賞エントリー時のクレジットは通常3名まで。特例として認められればもう1名追加出来る。(なので、最大4名までクレジット可能。) アカデミー賞作品賞の候補作のプロデューサーとしてクレジットが認められなければ作品賞ノミニーとはならないし、(当然、その先にある)受賞者にもなれない、そういうこと。 (この件に関してだけでなく)アカデミー賞においては各組合に所属の皆様方の意向を無視するとエライ目に遭う……どうもそういうことらしい。




視覚効果賞
視覚効果賞部門における最初の選考(=第一次選考)時の候補作品数を最大20作品まで増やすことになりました。そこからさらに10作品に候補を絞り、その10作品から最終的なノミネート作(5作品)を決定します。 (20作品→10作品→5作品へ、ということですね。)




短編ドキュメンタリー映画賞
短編ドキュメンタリー映画賞部門の候補作品として挙げられる作品数は現行の8作品から10作品に拡大されます。また、ノミネート作品数は5作品として固定化されます。(現行では「3~5作品」)




短編アニメーション映画賞 / 短編実写映画賞
短編アニメーション映画賞部門と短編実写映画賞部門において候補作品としての資格を得るためには、ロサンゼルス地区の映画館で少なくとも一週間そして少なくとも一日一回の上映が行われている作品でなければなりません。また、候補作となるには定められた日時と上映時間に沿って運営されている映画館のリストに載っていなければなりません。そして、短編アニメーション映画賞部門と短編実写映画賞部門もノミネート作品数は5作品に固定化されます。

ロサンゼルス地区の映画館で少なくとも一週間かつ一日一回上映しなければならないし、また「候補作として資格を得るために上映出来そうな適宜な場所を一週間だけちょっと借りて上映する」とかはダメで、ちゃんとした映画館(上映時間スケジュールをきちんと組んでいるような常設映画館)で上映しなくてはいけない、ということでしょうかね。特定の映画祭で受賞した作品は優先的に候補作リストに挙げられるようですが、そういう作品でもロサンゼルス地区の映画館で上映しなければいけないということかしらん?




また、キャンペーン行動や各個人が作品や業績を売り込むためにアカデミー会員に対しておこなってもよい事柄を明確にした規則も更新され、その更新も承認されました。


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【関連記事】 The Wrap  2015/06/24付け記事
Academy Awards Expands Visual Effects and Doc Shortlists, But Doesn’t Add Categories
( ttps://www.thewrap.com/academy-awards-expands-visual-effects-and-doc-shortlists-but-doesnt-add-categories/ )

But the big news was what they didn’t do.There was no change in the number of Best Picture nominees, despite speculation that the board was ready to consider going back to a flat five nominees after four years of a variable system that can produce anywhere from five to 10 nominees. (In practice, it produced eight nominees once and nine three times.) And they didn’t add new Oscar categories for stunt coordinators or casting directors, despite lobbying by and on behalf of both those groups. <自己流 訳>でも、ビッグニュースは「映画芸術科学アカデミーが何もしなかった」ということだ。作品賞ノミネート数を現行の「5~10作品(最大で10作品まで)」の変動型(実際には、ノミネート作品数が8作品だった時が1回、そして9作品だった時が3回あった。)から以前のような5作品固定に戻すかもしれないという推測もあったが、その件に関しては何も変化はなかった。さらに、映画芸術科学アカデミーはスタント・コーディネーター部門やキャスティング・ディレクター部門という新しい部門を創設することもなかった。スタント・コーディネーターそしてキャスティング・ディレクターそれぞれの業界の人間が各業界を代表しロビー活動をしたにも関わらず、だ。

スタントマン&スタント・コーディネーター(=スタント演出)部門の創設はもう30年以上も前からスタント業界の人々が創設を訴えているそうですが、いまだに彼らの希望は叶えられていません。アメリカ映画俳優組合賞にはスタント部門の表彰があるんだけどね。アクション映画やVFXが効いた作品が増え続ける中でスタントマンとアクション演出家であるスタント・コーディネーターの存在はますます重要度が増すばかりだけれど、俳優たちとしてみれば裏方であるスタントマンが表舞台に出てくることは避けたいのかもしれない。キャスティング・コーディネーターの存在もかなり大きくなってきていて、アカデミー賞の俳優部門の受賞者がスピーチの中でキャスティング・コーディネーターの名前を挙げて感謝を捧げることも多くなっています。俳優にとっては生命線と言える存在でしょうね。新たな俳優の発掘と抜擢は作品の質の向上や映画業界全体の活性化にも大きく関わってくるでしょうしねえ。でもアカデミーとしてはこれ以上表彰部門を増やしたくはないでしょう。(今でも授賞式が長いと非難されるのにこれ以上表彰部門を増やせばさらに長くなってしまう。)


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シネマトゥデイ  2015/06/24付け記事 
アカデミー賞作品賞ノミネート条件が変更 プロデューサーの手腕問われる
( ttp://www.cinematoday.jp/page/N0074388 )

大きな変更が行われたのは毎年の目玉である作品賞。以前からうわさされていたノミネート数を5作品に減らすという改革はないものの、作品賞へのノミネートはプロデューサーのノミネートとしてみなすと公表した。

シネマトゥデイ、大丈夫? 「作品賞へのノミネートはプロデューサーのノミネートとしてみなすと公表した」って、そんなもの、何十年も前からずっと「アカデミー賞作品賞ノミニー=候補作のプロデューサー」「アカデミー賞作品賞を受賞するのはプロデューサー」じゃないか。何を言ってるんだろうか。ここはもう「シネマトゥデイ」っていうサイト名を変更したほうがいいんじゃにないの? 実際、記事の6~7割がゴシップネタ&映画に直接関係ないネタだし。




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