今年の俳優4部門 ― 2016年度(第89回)アカデミー賞 ―

【主演男優賞】 (5人の平均年齢:46歳) (昨年度の平均年齢:43.4歳)

ケイシー・アフレック Casey Affleck (41歳/アメリカ)
作品|マンチェスター・バイ・ザ・シー
英題|Manchester By The Sea



アンドリュー・ガーフィールド Andrew Garfield (33歳/アメリカ生まれイギリス育ち)
作品|Hacksaw Ridge(英題)



ライアン・ゴズリング Ryan Gosling (36歳/カナダ)
作品|ラ・ラ・ランド
英題|La La Land



ヴィゴ・モーテンセン Viggo Mortensen (58歳/アメリカ)
作品|はじまりへの旅
英題|Captain Fantastic



デンゼル・ワシントン Denzel Washington (62歳/アメリカ)
作品|Fences(英題)



落選組
ジョエル・エドガートン Joel Edgerton (42歳/豪州)
作品|ラビング 愛という名前のふたり
英題|Loving

トム・ハンクス Tom Hanks (60歳/アメリカ)
作品|ハドソン川の奇跡
英題|Sully


アメリカ映画俳優組合賞と同じメンツ。『ラビング 愛という名前のふたり』自体の buzz が下がってしまっていたので、それに従ってジョエル・エドガートンの buzz も降下。(でもルース・ネッガのほうはノミネートされたんだよなあ。うーん。) 恋愛が絡んだ映画だと主演2人のうち女性俳優のみがノミネートされ男性俳優のほうは落選するというケース(『タイタニック』のディカプリオ、『ブルーバレンタイン』のゴズリング、など)がありますが、これもそういうことなんでしょうかねえ。『ブロークバック・マウンテン』の時は主演2名は両方ノミネートされたなあ。主演2名は両方とも男性俳優だったけど。ん――、なんだか分かりません。 ”時の運” ってことでしょうかね。

「イケメン俳優がイケメンであることをかなぐり捨てた時に評価が上がる」というケースがありますが、今年度のヴィゴ・モーテンセンはそういうことなのか??? トム・ハンクスはノミニー候補として名が挙がっては落とされるということがここのところ続いています。2016年上半期には「久しぶりにトム・ハンクスのノミネートあるかも!」なんて言われていたのに……『ハドソン川の奇跡』自体が賞レースで全くの不発だったということも影響があるのか???

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【主演女優賞】 (5人の平均年齢:45.6歳) (昨年度の平均年齢:37.4歳)

イザベル・ユペール Isabelle Huppert (63歳/フランス)
作品|Elle(英題)



ルース・ネッガ Ruth Negga (35歳/エチオピア)
作品|ラビング 愛という名前のふたり
英題|Loving



ナタリー・ポートマン Natalie Portman (35歳/イスラエル生まれアメリカ育ち)
作品|ジャッキー ファーストレディ 最後の使命
英題|Jackie



エマ・ストーン Emma Stone (28歳/アメリカ)
作品|ラ・ラ・ランド
英題|La La Land



メリル・ストリープ Meryl Streep (67歳/アメリカ)
作品|マダム・フローレンス! 夢見るふたり
英題|Florence Foster Jenkins


落選組
エイミー・アダムス Amy Adams (42歳/イタリア生まれアメリカ育ち)
作品|メッセージ(2016年)
英題|Arrival

アネット・ベニング Annette Bening (58歳/アメリカ)
作品|20センチュリー・ウーマン
英題|20th Century Women

タラジ・P・ヘンソン Taraji P. Henson(46歳/アメリカ)
作品|Hidden Figures

エミリー・ブラント Emily Blunt (33歳/イギリス)
作品|ガール・オン・ザ・トレイン
英題|The Girl on the Train


エイミー・アダムス、サプライズ落選。かわってルース・ネッガが入賞。メリル・ストリープ先生、今回は ”メリル・ストリープ枠” が発動されるかどうかギリギリのところでしたが、GG賞であのような大演説をぶちあげた時点で絶対ノミネートされると、(個人的には)確信。イザベル・ユペールは非英語映画での主演ということが若干不利に働きノミネートされるかどうか微妙というところでした。GG賞での受賞によってアカデミー賞主演女優賞部門ノミネートが確定したと言ってもいいのではないでしょうか。彼女の受賞スピーチでの振る舞いもよかったし。(GG賞はスピーチ内容を含めた受賞時の態度が重要で、のちの賞レースに響くと言われています。そんなことでオスカーのノミネートや受賞が決まるなんてバカバカしいけどさ。でも、投票は人間が行うことだし、人間には感情ってものがあるから……。授賞式でも役者としての力量が試されるということがないとは言えない。かといって ”やり過ぎ(=演じ過ぎ)” もダメだし。手練れの俳優であっても授賞式のスピーチではけっこう苦労しているし、どう振る舞うのがいいか、その加減はなかなか難しい。)

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【助演男優賞】 (5人の平均年齢:39.7歳) (昨年度の平均年齢:50.2歳)

マハーシャラ・アリ Mahershala Ali (42歳/アメリカ)
作品|ムーンライト
英題|Moonlight



ジェフ・ブリッジス Jeff Bridges (67歳/アメリカ)
作品|最後の追跡
英題|Hell or High Water



ルーカス・ヘッジズ Lucas Hedges (20歳/アメリカ)
作品|マンチェスター・バイ・ザ・シー
英題|Manchester By The Sea



デヴ・パテル Dev Patel (26歳/イギリス)
作品|LION/ライオン ~25年目のただいま~
英題|Lion



マイケル・シャノン Michael Shannon (42歳/アメリカ)
作品|Nocturnal Animals(英題)


落選組
ヒュー・グラント Hugh Grant (56歳/イギリス)
作品|マダム・フローレンス! 夢見るふたり
英題|Florence Foster Jenkins

アーロン・テイラー=ジョンソン Aaron Taylor-Johnson (26歳/イギリス)
作品|Nocturnal Animals

ベン・フォスター Ben Foster (36歳/アメリカ)
作品|最後の追跡
英題|Hell or High Water

ケヴィン・コスナー Kevin Costner (62歳/アメリカ)
作品|Hidden Figures

イッセー尾形 Issey Ogata (64歳/日本)
作品|沈黙 -サイレンス-
英題|Silence


GG賞&英国アカデミー賞にノミネートされたアーロン・テイラー=ジョンソンとアメリカ映画俳優組合賞&GG賞(主演部門)&英国アカデミー賞にノミネートされたヒュー・グラントという、英国俳優2名が落選。そしてアメリカ俳優のマイケル・シャノンが入賞。『沈黙 -サイレンス-』のイッセー尾形さんも一部で候補者として名は挙がっていました。とはいえ、正直言って現実的なノミニー候補ではなかったですね。弱冠20歳のルーカス・ヘッジズが無事ノミネートされて、よかったよかった。

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【助演女優賞】 (5人の平均年齢:44歳) (昨年度の平均年齢:37.4歳)

ヴィオラ・デイヴィス Viola Davis (51歳/アメリカ)
作品|Fences(英題)



ナオミ・ハリス Naomie Harris (40歳/イギリス)
作品|ムーンライト
英題|Moonlight



ニコール・キッドマン Nicole Kidman (49歳/アメリカ生まれ豪州育ち)
作品|LION/ライオン ~25年目のただいま~
英題|Lion



オクタヴィア・スペンサー Octavia Spencer (44歳/アメリカ)
作品|Hidden Figures(英題)



ミシェル・ウィリアムズ Michelle Williams (36歳/アメリカ)
作品|マンチェスター・バイ・ザ・シー
英題|Manchester By The Sea



落選組
ジャネール・モネイ Janelle Monae (31歳/アメリカ)
作品|Hidden Figures

グレタ・ガーウィグ Greta Gerwig (33歳/アメリカ)
作品|20センチュリー・ウーマン
英題|20th Century Women


無風。2016年前半期には様々な候補者の名前が挙げられ混沌としていましたが、賞レースが活況となった頃にはノミニー候補は完全に絞られていました。一応、落選組として2名ほど名を挙げていますが、ノミニー候補として現実味のある人は実際にノミネートされた5名以外には殆どいなかったというのが実態。ヴィオラ・デイヴィスは結果として助演部門にまわってよかった、ってことですね。

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【俳優賞4部門のノミニー5人の平均年齢】


主演男優賞
42.2歳  2010年度(第83回)
47.6歳  2011年度(第84回)
46.2歳  2012年度(第85回)
47歳   2013年度(第86回)
45歳   2014年度(第87回)
43.4歳  2015年度(第88回)
46歳   2016年度(第89回)



主演女優賞
34.8歳  2010年度(第83回)
45.8歳  2011年度(第84回)
38.2歳  2012年度(第85回)
55歳   2013年度(第86回)
39.4歳  2014年度(第87回)
37.4歳  2015年度(第88回)
45.6歳  2016年度(第89回)



助演男優賞
45.6歳  2010年度(第83回)
62.2歳  2011年度(第84回)
62.8歳  2012年度(第85回)
34.8歳  2013年度(第86回)
56歳   2014年度(第87回)
50.2歳  2015年度(第88回)
39.7歳  2016年度(第89回)



助演女優賞
41.4歳  2010年度(第83回)
39.4歳  2011年度(第84回)
49.6歳  2012年度(第85回)
44歳   2013年度(第86回)
42.6歳  2014年度(第87回)
37.4歳  2015年度(第88回)
44歳   2016年度(第89回)



主演男優賞と主演女優賞の平均年齢の差がほぼ無いのが今年の特徴。女優部門にとっては喜ばしい状況ではないかと思います。ただ、主演女優賞の場合は平均年齢は乱高下するので、来年度以降もこういう感じになるかどうか……。助演男優賞部門の平均年齢も40歳を切ってきました。よかった。さすがに2011年度・2012年度あたりの「平均年齢が60歳越え」というのは、まぁちょっといかがなものかとも思うし。

主演男優賞部門の平均年齢値の安定ぶり。平均年齢を計算する前には「今年は30歳台の俳優が2名ノミネートされているし、ケイシー・アフレックも40歳になったばかりと言っていいような年齢だし、だから平均年齢は下がるのでは?」と想像していたのですが、ヴィゴ・モーテンセン氏があと2年で還暦を迎えるような御年になっていたとは思いもよらず……。主演男優賞部門は45歳を挟んで多少上下するものの平均年齢が40歳以下になることも50歳超えることもまず無いですね。

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2010年度(第83回)
主演男優賞 (5人の平均年齢:42.2歳)
主演女優賞 (5人の平均年齢:34.8歳)
助演男優賞 (5人の平均年齢:45.6歳)
助演女優賞 (5人の平均年齢:41.4歳)



2011年度(第84回)
主演男優賞 (5人の平均年齢:47.6歳)
主演女優賞 (5人の平均年齢:45.8歳)
助演男優賞 (5人の平均年齢:62.2歳)
助演女優賞 (5人の平均年齢:39.4歳)



2012年度(第85回)
主演男優賞 (5人の平均年齢:46.2歳)
主演女優賞 (5人の平均年齢:38.2歳)
助演男優賞 (5人の平均年齢:62.8歳)
助演女優賞 (5人の平均年齢:49.6歳)



2013年度(第86回)
主演男優賞 (5人の平均年齢:47歳)
主演女優賞 (5人の平均年齢:55歳)
助演男優賞 (5人の平均年齢:34.8歳)
助演女優賞 (5人の平均年齢:44歳)



2014年度(第87回)
主演男優賞 (5人の平均年齢:45歳)
主演女優賞 (5人の平均年齢:39.4歳)
助演男優賞 (5人の平均年齢:56歳)
助演女優賞 (5人の平均年齢:42.6歳)



2015年度(第88回)
主演男優賞 (5人の平均年齢:43.4歳)
主演女優賞 (5人の平均年齢:37.4歳)
助演男優賞 (5人の平均年齢:50.2歳)
助演女優賞 (5人の平均年齢:37.4歳)



2016年度(第89回)
主演男優賞 (5人の平均年齢:46歳)
主演女優賞 (5人の平均年齢:45.6歳)
助演男優賞 (5人の平均年齢:39.7歳)
助演女優賞 (5人の平均年齢:44歳)


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海外ドラマNAVI  2017年1月26日付け記事
第89回アカデミー賞、黒人俳優のノミネート数が史上最多に( ttp://dramanavi.net/news/2017/01/89.php )

昨年、一昨年と、2年連続で候補者全員が白人だったが、今年は全カテゴリーで白人以外の候補者が見られ、俳優部門でも7人のマイノリティがノミネートされており、2007年の記録と並んでいる。さらに、6人の黒人俳優ノミネートは史上最多。主演男優賞候補のデンゼル・ワシントンは『Fences(原題)』で自身7度目のノミネートと、黒人俳優の中では最も回数が多い。 (中略) ヴィオラは女性の黒人俳優としては最も多いノミネート回数(3)を誇っている。 (中略) 俳優部門だけにとどまらず、作品賞でノミネートされている『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を制作したキンバリー・スチュワードは、オプラ・ウィンフリー(『グローリー/明日への行進』)に続いて2人目の黒人女性の制作部門ノミネートとなった。『ムーンライト』の監督と脚本を担ったバリー・ジェンキンズは、黒人で4人目となる監督賞にノミネートされたほか、同時に脚色賞にもノミネートされており、これは黒人監督として2人目の快挙となる。また、過去に3人の黒人監督しかノミネートされていなかったドキュメンタリー部門は、今回ほとんどが非白人の候補者で占められた。中でもエヴァ・デュヴァネイ監督(『13th -憲法修正第13条-』)は黒人女性として初のノミネートだ。そして『メッセージ』で撮影賞にノミネートされたブラッドフォード・ヤングは黒人として史上2人目、『ムーンライト』で編集賞にノミネートされたジョイ・マクミロンは同カテゴリーでの黒人女性初のノミネートとなっている。編集賞でノミネートされている『ラ・ラ・ランド』のトム・クロスはアジア系だ。『モアナと伝説の海』の歌曲賞にノミネートされたヒスパニック系のリン=マヌエル・ミランダは今回受賞を果たした場合、過去13人しかいないエミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞全ての受賞者となる。

撮影賞ノミネートのブラッドフォード・ヤングは黒人として史上2人目、なんですね。黒人初なのかと思ってた。『ラ・ラ・ランド』の編集者トム・クロスのお母さまはベトナム出身だそうです。




cinemacafe.net  2017年1月26日付け記事
トム・ハンクス&エイミー・アダムス、ミスでアカデミー賞公式サイトにノミネート者として記載(http://www.cinemacafe.net/article/2017/01/26/46609.html?fromsp

トム・ハンクスとエイミー・アダムスがアカデミー賞の公式サイトに誤ってノミネート者として記載されるトラブルに見舞われた。トムとエイミーは24日(現地時間)のノミネート発表後、同サイトに『ハドソン川の奇跡』と『メッセージ』の演技が評価されたとしてそれぞれ主演男優賞と主演女優賞のカテゴリーに誤って名前が挙げられてしまった。 (中略) このミスを受け、同式典の放送を担当するABC局のデジタル部門は謝罪コメントを出している。 (中略) ほかにも、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』のフェイスブックとツイッターページでは、同作で助演女優賞にノミネートされたニコール・キッドマンのことをナオミ・ワッツと記載するミスを犯していたが、現在では全て修正されている。

ABC局のオスカーサイトは予定稿を出しちゃったんだろうね。確かに発表直後に見にいったら間違ってた。 ―『LION』の公式サイト(たぶん英語版)、ひどい……公式サイトが出演者を間違えるとは。



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