2012年ベネチア国際映画祭:受賞結果発表

2012年ベネチア国際映画祭の受賞結果が発表されました。

2012年(第69回)ベネチア国際映画祭は(現地日付で)2012年08月29日から09月08日まで でした。

【参照】 ベネチア国際映画祭 公式サイト内
Official Awards of the 69th Venice Film Festival


メイン・コンペティション
審査員長
  マイケル・マン Michael Mann (アメリカの映画監督、プロデューサー、脚本家) 
審査員
  マリーナ・アブラモヴィッチ Marina Abramovic (セルビア人アーティスト)
  レティシア・カスタ Laetitia Casta (フランスのファッションモデル、女優)
  ピーター・チャン(陳可辛) Peter Ho-Sun Chan (香港の映画監督、プロデューサー)
  アリ・フォルマン Ari Folman (イスラエルの映画監督)
  マッテオ・ガローネ Matteo Garrone (イタリアの映画監督、プロデューサー)
  ウルスラ・メイヤー Ursula Meier (フランス/スイスの映画監督)
  サマンサ・モートン Samantha Morton (イギリスの女優、映画監督)
  パブロ・トラペロ Pablo Trapero (アルゼンチンの映画監督、プロデューサー)



● ベネチア国際映画祭 公式サイト(英語版トップページ)
  la Biennale di Venezia (Venice Film Festival)

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2012年(第69回)ベネチア国際映画祭 受賞結果
(la Biennale di Venezia / Venice International Film Festival)


(メイン)コンペティション部門 In Competition (Venezia 69)

金獅子賞 Golden Lion (Leone d'Oro)
嘆きのピエタ Pieta
監督  キム・ギドク Kim Ki-duk
製作国 韓国




銀獅子賞(監督賞) Silver Lion (Leone d’Argento)
ポール・トーマス・アンダーソン Paul Thomas Anderson
作品:ザ・マスター The Master
製作国 アメリカ
当初、情報が錯綜したらしく、サイトによっては「ウルリヒ・ザイドルが銀獅子賞(監督賞)、ポール・トーマス・アンダーソンが審査員特別賞」という記述もありました。

情報錯綜の裏側にはこういう事情があったということですね。「オフィシャルの賞は基本的には1作品に対して1つの賞しか認められないが、最大で2つまで与えることも条件によっては可。(たとえば、男優賞・女優賞&新人賞は金獅子賞以外の賞とダブル受賞も可。ただしそれには映画祭ディレクターの承認が要る、など)」というルールがあるんですね。
【参考】 The Hollywood Reporter 2012年09月08日付け記事
The rules allowed Mann and his jury to give acting awards to the Paul Thomas Anderson film--but not if it won the top prize.
【参考】 シネマトゥデイ 2012年09月09日付け記事 
ベネチア映画祭でまさかのハプニング!賞を取り違え審査委員長マイケル・マン監督も赤面【第69回ベネチア国際映画祭】



審査員特別賞 Special Jury Prize (Gran premio della giuria)
監督  ウルリヒ・ザイドル Ulrich Seidl
作品:パラダイス 神 英題:Paradise: Faith 原題:Paradies: Glaube
製作国 オーストリア / ドイツ / フランス
※ ストランド・リリーシング(Strand Releasing)が北米での配給権を獲得。
  (「Paradise trilogy(パラダイス三部作)」3作すべての配給権を獲得)
  (2012/09/09付け)



ヴォルピ杯(男優賞) Coppa Volpi for the Best Actor ※ 2名のタイ受賞
フィリップ・シーモア・ホフマン Philip Seymour Hoffman
ホアキン・フェニックス Joaquin Phoenix
作品:ザ・マスター The Master
製作国 アメリカ



ヴォルピ杯(女優賞) Coppa Volpi for the Best Actress
ハダス・ヤロン Hadas Yaron
作品:Fill The Void (原題:Lemale Et Ha’Chalal)
製作国 イスラエル
※ ソニー・ピクチャーズ・クラシックス(Sony Pictures Classics)が北米での配給権を獲得。
  (2012/10/02付け)



マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞) Premio Marcello Mastroianni
ファブリツィオ・ファルコ Fabrizio Falco
作品:● 眠れる美女
     英題:Dormant Beauty 原題:Bella addormentata 製作国:イタリア / フランス
    ● それは息子だった(←2013イタリア映画祭時の邦題)
     英題:It Was The Son(The Son Did It) 原題:E' stato il figlio 製作国:イタリア




金オゼッラ賞(脚本賞) Osella for Best Screenplay
オリヴィエ・アサヤス Olivier Assayas
作品:5月の後 (←2012年東京国際映画祭での邦題) 
英題:Something in the Air 原題:Après Mai
製作国 フランス



金オゼッラ賞(芸術貢献賞 〔撮影賞〕) Osella for Best Cinematography
ダニエーレ・チプリ Daniele Cipri
作品:それは息子だった(←2013イタリア映画祭時の邦題)
    英題:It Was the Son(The Son Did It) 原題:E' stato il figlio
製作国 イタリア



ルイジ・デ・ラウレンティス賞(新人監督が対象)
"Luigi De Laurentiis" Award for a Debut Film
Mold  原題:Küf  (※ 「批評家週間」エントリー作)
監督  アリ・アイディン Ali Aydin
製作国 トルコ / ドイツ


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オリゾンティ部門 Horizons – Premio orrizonti

オリゾンティ賞 Premio Orizzonti (Orizzonti prize)
三姉妹 雲南の子 (ドキュメンタリー作品)
英題:Three Sisters 原題:San Zi Mei 
監督  ワン・ビン(王兵) Wang Bing
製作国 香港 / フランス



オリゾンティ審査員特別賞 Special Orizonti jury prize
Tango Libre
監督  フレデリック・フォンテーヌ Frédéric Fonteyne
製作国 フランス / ベルギー / ルクセンブルグ



オリゾンティYouTube賞(短編映画が対象) Orizzonti YouTube Award for Short Film
Invitation (原題:Cho-De)
監督  ユ・ミンオン Yoo Min-young
製作国 韓国



ヨーロッパ映画賞2012 European Film Awards (2012-EFA)
Titloi Telous
監督  Yorgos Zois
製作国 ギリシャ


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名誉金獅子賞 The Golden Lion for Lifetime Achievement
フランチェスコ・ロージ Francesco Rosi


ペルソール2012賞 The Persol 2012 Award (※「ペルソール」はスポンサー名)
マイケル・チミノ Michael Cimino
【参考記事】 シネマトゥデイ 2012年9月1日付け記事
30年以上拒絶され続けた『天国の門』リマスター版ベネチアで上映 マイケル・チミノ監督も感動!【第69回ベネチア国際映画祭】


Glory to the Filmmaker Award
スパイク・リー Spike Lee


L'Oréal Paris Award for Cinema (※「L'Oréal Paris(ロレアル パリ)」はスポンサー名)
Giulia Bevilacqua


Your Film Festival
作品 The Guilt
監督 デビッド・ヴィクトリ David Victori
製作国 スペイン
【参考記事】 シネマトゥデイ 2012年9月3日付け記事
YouTube映画祭のグランプリ発表!リドリー・スコット監督は姿見せず…【第69回ベネチア国際映画祭】


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2012ヴェネツィア国際映画祭
2012ヴェネチア国際映画祭
2012ベネツィア国際映画祭
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(2012/09/09 記)
ルールがあったからこそ阻止されたものの、最初は『ザ・マスター』(The Master)が最高賞・監督賞・俳優賞受賞と総なめするはずだった、ってことでしょ?いやはや。1作品には最大で2賞しか与えることが出来ないし金獅子賞をゲットすると他の賞はもらえなくなるから、演出(監督)にも演じた俳優にも賞をやりたいとなると金獅子賞は諦めてもらうしかない。ということで銀獅子賞(監督賞)と俳優賞の2賞へ・・・・・・・ということですね。今回、審査員団が「今映画祭において第一席である」と評価したのは『ザ・マスター』ということよね。キム・ギドク監督『Pieta』も当然高評価されていて、『Pieta』は事実上の第二席という評価だったといことかしらん。賞をあげたい作品(人物)は完全に数作品(数名)に絞られていて、それをどの賞へどう割り振るかが問題だったということでしょうね。

まあ、時が流れやがて名が残るのは結局のところ最高賞(金獅子賞)なので、ポール・トーマス・アンダーソン(と『ザ・マスター』チーム)としては金獅子賞が欲しかったんじゃないかな。



(2012/09/10 記)
審査員長のマイケル・マンは受賞式後の記者会見では審査の内容は外に漏らさないとして語らなかったのに、「ハリウッド・レポーター」誌の電話取材に応じ内情を話したそうです。「オフレコで話す」という約束があったのかどうかは分かりません。とにかく、それで受賞結果の内幕がばれてしまったということです。

審査員団の中で各作品に対する評価が一致せずにもめたりしてその結果さまざまな摺り合わせが行われた挙句に受賞先が決まるのは毎年のように起こっていることでしょうし、むしろ意見が一致して賞が決まるほうが珍しいくらいなんじゃないでしょうか。今年は数作品に高評価が集中した結果、最初は特定の作品に賞が集まってしまった、ということ。(オフィシャルの賞以外の併設賞の各賞でも、割と受賞が特定の作品に集中している感じ。)「評価が一致せずにもめる年」もあれば「評価が一致する年」もあるということですね。問題はその内情が記者会見ではなく特定の報道機関から詳細が外に漏れた、ということじゃないでしょうかね。マイケル・マンとしては「そのくらい『ザ・マスター』を高く評価していたんだ」ということを述べておきたかったのかもしれませんけどね。

「審査員団が最高賞(=金獅子賞)と監督賞(=銀獅子賞/事実上の第二席)をどっちにするか?ということで迷い、すったもんだがある」のは、なにも今年に限ったことじゃないでしょう。なんでこんな大騒ぎ?授賞式で表彰盾を渡し間違えて式中に交換した、というハプニングがあったことで騒ぎになるのなら分かるけど。




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