R.I.P. Peter O'Toole ピーター・オトゥール (1932 – 2013)
享年81。
米国アカデミー賞に8回ノミネートされましたが結局受賞ならずで、名誉賞受賞のみ。英国アカデミー賞では『アラビアのロレンス』で受賞出来たのが救いです。
調べてみると、1962年『アラビアのロレンス』当時(公開時)は30歳でした。デビュー2年め、碧眼長身のイケメン、30歳でオスカー初ノミネートでは受賞は無理。米国アカデミー賞はルックスのいい才能ある若い男優には優しくありません。
候補がこういうメンツだし、そりゃもらえんわな。
1962年度 アカデミー賞主演男優賞 ★…受賞
★アラバマ物語 グレゴリー・ペック
終身犯 バート・ランカスター
酒とバラの日々 ジャック・レモン
イタリア式離婚狂想曲 マルチェロ・マストロヤンニ
アラビアのロレンス ピーター・オトゥール
Lawrence of Arabia - Original 1962 Trailer
監督:デヴィッド・リーン
「砂漠は清潔だ」…砂漠を清潔だとか不潔だとかそういう観点で見たことが無かったのでこの台詞に驚いたことを思い出します。 それにしてもすごい画だねえ。画と音楽と俳優たちの三位一体。
『アラビアのロレンス』では無理だったとしてもせめてこれあたりでもらえてれば……。当時36歳かぁ。老成しているなあ。
『冬のライオン』(1968年)
The Lion In Winter (1968) - Trailer
監督:アンソニー・ハーヴェイ
この勢いで演じてくるキャサリン・ヘプバーンと並んでしまうとやっぱ不利よねえ。見終わった後の印象としてどうしたってかすんでしまう。ピーター・オトゥール だって同じくらい迫力あったのになあ。 『チップス先生さようなら』でノミネートされた1969年度は『勇気ある追跡』のジョン・ウェインがいたし、めぐりあわせの悪さってのもあったんでしょうね。『勇気ある追跡』のジョン・ウェインは特にどうということもない”いつもの演技”だったように思いますけれど、たぶん「一度くらいはジョン・ウェインに受賞させなきゃいかん」というムードでもあったんでしょう。たぶんね。
オトゥール氏が40代から50代になる”ちょうどもらい頃”の年齢の時期(1970年代後半から1980年代前半くらい)に作品に恵まれなかったのがオスカーもらい損ねた原因かなあ。フィルモグラフィーを眺めているとそんなふうに思います。
これが好き。
『おしゃれ泥棒』(1966年) How to Steal A Million
How to Steal Million - Trailer
監督:ウィリアム・ワイラー
そうか、これにも出演していましたね。
『トロイ』……そういう映画もありました。すっかり忘れられた映画になりました。
Troy (2004) - Trailer
ピーター・オトゥールが出ているシーンは史劇らしさが感じられる映画。
ブラッド・ピット(アキレス役)とピーター・オトゥール(プリアモス役)
史劇における俳優の演技熟達度や訓練度合の違いを感じさせるシーン。違いがはっきり出ちゃったのでブラピにしたら気の毒なシーン。アメリカ俳優は史劇に合った演技を学ぶ機会があんまりないんでしょう。やっぱり王立演劇学校のあるイギリスは強いよなあ。
2006年度にも『ヴィーナス』で主演男優賞部門へノミネートされています。アカデミー賞の俳優部門ではあたかも高齢俳優に1枠用意されているかのようなノミネート結果になることも多いのですが、とはいえ高齢でも主演作があってしかもその主演としての出演作の存在がそれなりに周囲に認知されノミネートされるというのは知名度のあるキャリア豊富な老齢俳優といえども誰にでも起こることではないでしょう。オトゥール氏がアカデミー賞に8回もノミネートされたのに受賞出来ずにいるのを業界同業者たちはみんな気にしていたのは間違いないでしょう。チャンスさえあれば授与したいという気持ちが老齢俳優に対して投票するという行動に表れてくるのだと思います。
長いキャリア、お疲れさまでした。 ご冥福をお祈りします。
---------------------------------------------------------------------------------------
▲
米国アカデミー賞に8回ノミネートされましたが結局受賞ならずで、名誉賞受賞のみ。英国アカデミー賞では『アラビアのロレンス』で受賞出来たのが救いです。
調べてみると、1962年『アラビアのロレンス』当時(公開時)は30歳でした。デビュー2年め、碧眼長身のイケメン、30歳でオスカー初ノミネートでは受賞は無理。米国アカデミー賞はルックスのいい才能ある若い男優には優しくありません。
候補がこういうメンツだし、そりゃもらえんわな。
1962年度 アカデミー賞主演男優賞 ★…受賞
★アラバマ物語 グレゴリー・ペック
終身犯 バート・ランカスター
酒とバラの日々 ジャック・レモン
イタリア式離婚狂想曲 マルチェロ・マストロヤンニ
アラビアのロレンス ピーター・オトゥール
Lawrence of Arabia - Original 1962 Trailer
監督:デヴィッド・リーン
「砂漠は清潔だ」…砂漠を清潔だとか不潔だとかそういう観点で見たことが無かったのでこの台詞に驚いたことを思い出します。 それにしてもすごい画だねえ。画と音楽と俳優たちの三位一体。
『アラビアのロレンス』では無理だったとしてもせめてこれあたりでもらえてれば……。当時36歳かぁ。老成しているなあ。
『冬のライオン』(1968年)
The Lion In Winter (1968) - Trailer
監督:アンソニー・ハーヴェイ
この勢いで演じてくるキャサリン・ヘプバーンと並んでしまうとやっぱ不利よねえ。見終わった後の印象としてどうしたってかすんでしまう。ピーター・オトゥール だって同じくらい迫力あったのになあ。 『チップス先生さようなら』でノミネートされた1969年度は『勇気ある追跡』のジョン・ウェインがいたし、めぐりあわせの悪さってのもあったんでしょうね。『勇気ある追跡』のジョン・ウェインは特にどうということもない”いつもの演技”だったように思いますけれど、たぶん「一度くらいはジョン・ウェインに受賞させなきゃいかん」というムードでもあったんでしょう。たぶんね。
オトゥール氏が40代から50代になる”ちょうどもらい頃”の年齢の時期(1970年代後半から1980年代前半くらい)に作品に恵まれなかったのがオスカーもらい損ねた原因かなあ。フィルモグラフィーを眺めているとそんなふうに思います。
これが好き。
『おしゃれ泥棒』(1966年) How to Steal A Million
How to Steal Million - Trailer
監督:ウィリアム・ワイラー
そうか、これにも出演していましたね。
『トロイ』……そういう映画もありました。すっかり忘れられた映画になりました。
Troy (2004) - Trailer
ピーター・オトゥールが出ているシーンは史劇らしさが感じられる映画。
ブラッド・ピット(アキレス役)とピーター・オトゥール(プリアモス役)
史劇における俳優の演技熟達度や訓練度合の違いを感じさせるシーン。違いがはっきり出ちゃったのでブラピにしたら気の毒なシーン。アメリカ俳優は史劇に合った演技を学ぶ機会があんまりないんでしょう。やっぱり王立演劇学校のあるイギリスは強いよなあ。
2006年度にも『ヴィーナス』で主演男優賞部門へノミネートされています。アカデミー賞の俳優部門ではあたかも高齢俳優に1枠用意されているかのようなノミネート結果になることも多いのですが、とはいえ高齢でも主演作があってしかもその主演としての出演作の存在がそれなりに周囲に認知されノミネートされるというのは知名度のあるキャリア豊富な老齢俳優といえども誰にでも起こることではないでしょう。オトゥール氏がアカデミー賞に8回もノミネートされたのに受賞出来ずにいるのを業界同業者たちはみんな気にしていたのは間違いないでしょう。チャンスさえあれば授与したいという気持ちが老齢俳優に対して投票するという行動に表れてくるのだと思います。
長いキャリア、お疲れさまでした。 ご冥福をお祈りします。
---------------------------------------------------------------------------------------
▲
タグ:その他