ノーベル文学賞受賞記念|ボブ・ディラン『ウィ・アー・ザ・ワールド』メイキング・シーン

高音のパートを歌うことになったので、不安げに「キーが合うかな?変えちゃいけないんだろ?」と尋ねるボブ・ディラン。「好きなようなやってくれればいいんだ。キーなんて気にしなくていい」と応えるクインシー・ジョーンズ。


We Are The World - Making3/4 (日本語ナレーション)
ボブ・ディラン登場は12:00あたりより





上(↑)のビデオクリップではスティーヴィー・ワンダーとのリハーサル・シーンは編集で短くなっていてすんなり進行したようにみえますが、ボブ・ディランは自分の歌い方を掴むまで結構苦労していて、スティーヴィー・ワンダーが「こうしたらいいんじゃない?」てな感じでディランに歌い方を提案しながら一緒に歌って見せたりしています。ディランが担当パートを彼らしく歌い上げるまでライオネル・リッチーとクインシー・ジョーンズとスティーヴィー・ワンダーの3人がかりで調整。


Bob Dylan Rehearses We Are The World


ボブ・ディラン、困惑の図。これ、スティーヴィー・ワンダーが歌い方を提案してくれなかったらどう歌ったらいいのか分からないままだったんじゃない? 歌い方を掴むまでは、あたかも酔っ払いがテキトーに鼻歌を歌っているみたい。まともに歌えなくて。プロでも自分の歌じゃないとこんなふうになっちゃうものなのですね。

ライオネル・リッチーはボブ・ディランに対してだけではなく様々な歌い手に対してアドバイスしたり逆に他の歌い手からアドバイスを集めたり調整するため歌い手達のあいだに入って会話をしたりと献身的に動き回っているんですよね。





そして出来上がったのがこれ。

U.S.A. For Africa - We Are the World
(YouTube USAforAfricaVEVO チャンネルより )




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AFPBB News  2016年10月14日付け記事
ボブ・ディラン氏にノーベル賞、文学界で賛否噴出( ttp://www.afpbb.com/articles/-/3104313 )
フィリップ・ロス(Philip Roth)氏、ジョイス・キャロル・オーツ(Joyce Carol Oates)氏、ドン・デリーロ(Don DeLillo)という米国の文豪3人もまだ同賞を待っているのに加え、ノーベル賞に無視され続けた末に亡くなったホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges)といった巨匠たちの例もあり、他の作家らも相次いで批判的な態度を示した。


ノーベル文学賞は小説だけでなく戯曲や詩も評価の対象となっていて今までにも戯曲家や詩人が受賞していますから、今回は詩人へ賞がいったんだなとしか思わなかったんですが……。確かにボブ・ディランが受賞と聞き、一瞬びっくりしたけど「ああ、そういう時代になったんだなあ。詩人ボブ・ディランが評価されたんだな」とそんなふうに思っただけでしたね。無視されてきた領域に光が当たったってことじゃないの? 今までにも詩を書いた人がノーベル文学賞をもらっているのだから、「曲がついている詩を書いた人物だからダメ」なんて逆におかしいんじゃないのかな。曲がついていようがいまいが詩は詩、なんだから。

小説を書く文学者の中に反発している人がいるそうですが、そういう人達は今までにも詩人が受賞したときに反発したんでしょうかね?今回ボブ・ディランが受賞したからって次から次へとシンガーソングライターが受賞するってもんでもないでしょう。反発している文学者たち、創作活動をしている割には案外頭堅いねえ。

「アメリカ国内に受賞を待っている小説家がいるのに……」「受賞する前に亡くなっちゃった人だっているのに……」なんて言われたってねえ。そういう人はどこの国にもいっぱいいるだろうし、言い出したらキリがない。賞が欲しい人は頑張って長生きしましょう、ってことです。こういうのは ”長く生きたもん勝ち” ですからね。


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ボブ・ディランは映画の脚本も書いているのですが、そちらのほうは、その、なんといいましょうか、えーと……。



『ボブ・ディランの頭のなか』(2003年)
英題|Masked and Anonymous

監督|ラリー・チャールズ Larry Charles
脚本|ボブ・ディラン
   ラリー・チャールズ
音楽|ボブ・ディラン


Masked And Anonymous - Trailer


もう全然面白くなかった。でも、ボブ・ディランという名前でこれだけの俳優が出演してくるんですからね、その影響力たるやすごいもんですよ。



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