2016年度(第89回)アカデミー賞外国語映画賞|日本からの出品作 決定(『母と暮せば』)|日本代表作選考への出品作リスト、選考者名等は公表されず。選考過程は毎度明らかにされず。

日本代表作は『母と暮せば』に決まりました。


他国の場合、ノミネートの確率を少しでも上げるために(ノミネートが無理でも「最終選考に進む9作品(ショートリスト)」入りを目指して)大きな国際映画祭で受賞した、もしくはコンペティション等に選出された作品があればそちらを代表作に選ぶのが通例です。(もちろん、そうならないこともあります。) 日本代表作の選考委員は国際的な流れとは異なる選考基準を持っているようで、そういう作品は選出されませんでした。


今年、日本にもカンヌ国際映画祭やトロント国際映画祭へ選出されている作品で出品規定をクリアしている映画が数本あります。そういった作品がアカデミー賞外国語映画賞日本代表作の選考に出品しているのか/していないのかは定かではありません。(日本代表作品選考に出品しなければ代表作には選ばれません。)
 

日本代表作選考に対してどれくらいの数の作品が出品申請をしたのか / どの作品が日本代表作選考に対して申請をあげてきたのか / 選考したのは誰なのか(選考者の名前) 等の詳細は一切公表されません。いつも日本代表作は業界内の閉じた環境の中で決まります。




【参照】一般社団法人 日本映画製作者連盟 2016年9月6日付け
第89回米国アカデミー賞外国語映画賞部門への出品作品として「母と暮せば」山田洋次監督(松竹株式会社)が決定しました。( http://www.eiren.org/academy/exhibition.html



日本からの出品作
母と暮せば(2015年)
英題|Nagasaki: Memories of My Son
別英題|Living with My Mother
監督|山田洋次 Yôji Yamada
配給|松竹


IMDb|Haha to kuraseba
http://www.imdb.com/title/tt4287852/



こういう演出/演技が今のアカデミー賞外国語映画賞で通用するとは思えない。(英語字幕で鑑賞されることが何らかの補填となればいいですけどね。)通用するようならとっくにどこかしら大きめな国際映画祭に選出されているでしょう。日本代表作発表の時点で敗戦決定のような作品を選んでどうする。 選考委員は誰なのか分かりませんが、選考基準がアップデートされている人達で選んで欲しい。毎年、各国からどういうものが出品されてきているか確認して欲しい。毎年の各国代表作の予告編だけでも見て欲しい。他になければこれでもいいでしょうが、他にあるのに何故これなのか?山田洋次の『たそがれ清兵衛』がノミネートされたのはもう10年以上も前。この部門においてはもう大昔のことになります。(それに『たそがれ清兵衛』の主要キャストはこんな台詞回しじゃなかった)アカデミー賞外国語映画賞もその頃とは嗜好も志向も変わっている。日本は2010年代に入ってからずっと勝負にならないような作品ばっかり送ってる。「勝負になりそうな作品はそれしかない(他に無い)」という年ならいざ知らずそうじゃない年まで……。

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アカデミー賞外国語映画賞


まず、アメリカの映画芸術科学アカデミーから各国へ外国語映画賞部門への出品要請が行われます。アカデミー賞外国語映画賞のコンペティションに参加する意志のある国は、それぞれの国の代表作品(1作品)を選出し、出品します。その際には映画芸術科学アカデミーにより決められた外国語映画賞部門の出品規定をクリアしていることが前提です。(出品後、映画芸術科学アカデミーにより出品規定が守られているかどうかが審査され、規定をクリアできていない作品は受理されません。後日、取り消しを受ける場合もあります。)


なお日本代表作選考ですが、同部門へ出品する意思が有る作品が日本映画製作者連盟の"アカデミー賞外国語映画賞部門への出品募集"に対して応募します。そのうえで、定められている出品規定に反していないかどうかを含め選考されます。応募しなければ選ばれませんし、出品規定に則していない作品もはじかれます。


各国共通の出品条件として、出品国にて前年の10月から該当年の9月末までに一週間以上劇場公開されたことが定められています。(国内での劇場初公開が条件。劇場公開より先にTV放映されたものはダメ。) ほかにも、使用言語の割合(出品国で使われている言語と他国の言語との割合) / (他国との共同製作の場合)出品国の出資比率などの規定もあるようです。


参加国は年々増え、2014年度には80か国を超えました。本年度(=2016年度 / 第89回)は85か国からの出品がありました。


各国からの出品の締め切りは10月1日。各国代表作のフルリストが映画芸術科学アカデミーから正式発表されるのは例年10月上旬(10月8日前後)です。



そのあとは、まず第一段階として「外国語映画賞部門の最終選考に進む9作品」が選ばれます。〔昨年度(=2015年度 / 第88回)は2015年12月17日に発表されました。〕 この9作品の中からノミネート作5作品が選ばれます。

アカデミー賞外国語映画賞の最終選考に進む9作品のうち6作品は、外国語映画賞部門を担当する委員会の一般会員(Foreign-Language Film Award General committee)による投票によって決まり、残りの3作品は外国語映画賞執行委員会(Foreign-Language Film Award Executive Committee)からの推薦で決まります。外国語映画賞執行委員会はロサンゼルスを活動拠点としているアカデミー会員20名から成り立っています。(The Wrap のSteve Pond 氏の記事による) ということで、外国語映画賞部門へ出品された各国代表作はノミネートの時点でアカデミー会員に必ずしも広く鑑賞されるわけではありません。


アカデミー賞外国語映画賞部門のノミネート5作品に入った作品の関係者がアカデミー賞授賞式に招待されます。(外国語映画賞部門のノミネート5作品に入らなければ授賞式には行けません。) 本年度(=2016年度)ノミネーション発表は2017年1月24日(木)の予定です。


そして授賞式にて受賞作(1作品)が発表・表彰されます。本年度(=2016年度)の授賞式は、(現地日付で)2017年2月26日(日)の予定です。



外国語映画賞部門受賞作決定までの流れ
各国からの出品の締め切り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2016年10月1日

各国からの出品作全リスト発表・・・・・・・・・・・・・・・・・・2016年10月上旬予定

「外国語映画賞部門の最終選考に進む9作品」(ショートリスト)の発表・・・2016年12月半ばから翌年1月半ばまでの時期に

アカデミー賞ノミネーション発表・・・・・・・・・・・・・・・・・2017年1月24日予定

アカデミー賞授賞式 (受賞作発表)・・・・・・・・・・・・・・・・2017年2月26日予定


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【アカデミー賞外国語映画賞|出品国数】


2016年度(第89回) 85か国
(89か国から出品、うち1か国が不受理。出品したと報道されたもののリストに載らなかった国が3か国)

2015年度(第88回) 81か国

2014年度(第87回) 83か国

2013年度(第86回) 76か国

2012年度(第85回) 71か国

2011年度(第84回) 63か国(65か国から出品、うち2か国が不受理)

2010年度(第83回) 66か国(※『告白』が”最終選考に進む9作品”のリスト入り)

2009年度(第82回) 65か国(67か国から出品、うち2か国が不受理)

2008年度(第81回) 67か国(※『おくりびと』が同部門を受賞)

2007年度(第80回) 63か国(64か国から出品、うち1か国が不受理)




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2016年度(第89回)アカデミー賞外国語映画賞|フィンランドからの出品作 決定(『オリ・マキの人生で最も幸せな日』)

フィンランド代表作は2016年カンヌ国際映画祭 ある視点部門に選出され 同部門の最高賞である ”ある視点賞” を受賞した『オリ・マキの人生で最も幸せな日』(2016年東京国際映画祭での邦題)に決まりました。



フィンランドからの出品作
オリ・マキの人生で最も幸せな日(←2016年東京国際映画祭での邦題)
英題|The Happiest Day in the Life of Olli Maki
原題|Hymyileva mies
監督|ユホ・クオスマネン Juho Kuosmanen
製作国|フィンランド / スウェーデン / ドイツ


IMDb|Hymyilevä mies
http://www.imdb.com/title/tt4771932/



Hymyileva mies (The Happiest Day in the Life of Olli Mäki)
Trailer(英語字幕付き)





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