2013アカデミー賞外国語映画賞:ボスニア・ヘルツェゴヴィナからの出品作が決定(『鉄くず拾いの物語』)

2013年ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員特別賞 / 男優賞)の2賞とコンペティション部門エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンションの計3賞を受賞した『鉄くず拾いの物語』がボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表作に決まりました。



ボスニア・ヘルツェゴヴィナからの出品作
鉄くず拾いの物語  
英題|An Episode in the Life of an Iron Picker
原題|Epizoda u zivotu beraca zeljeza
監督|ダニス・タノヴィッチ Danis Tanovic
製作国|ボスニア・ヘルツェゴビナ / フランス / スロベニア


IMDb|Epizoda u zivotu beraca zeljeza
http://www.imdb.com/title/tt2507592/




An Episode in the Life of an Iron Picker - Trailer





映画『鉄くず拾いの物語』予告編





共通テーマ:映画

2013アカデミー賞外国語映画賞:カナダからの出品作が決定

カナダ代表作は2013年ロカルノ国際映画祭観客賞を受賞したルイーズ・アルシャンボール監督作『Gabrielle(英題)』に決まりました。

今作は2013年トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門にも選出されました。



カナダからの出品作
Gabrielle(英題)
監督|ルイーズ・アルシャンボール Louise Archambault


IMDB|Gabrielle
http://www.imdb.com/title/tt3106846/




Gabrielle (2013) - Trailer





共通テーマ:映画

2013アカデミー賞外国語映画賞:アイスランドからの出品作が決定(『馬々と人間たち』)

2013年東京国際映画祭のコンペティションへも選出されている『馬々と人間たち』がアイスランド代表作に決まりました。2013年サン・セバスティアン国際映画祭 新人監督部門へも選ばれています。



アイスランドからの出品作
馬々と人間たち
英題|Of Horses and Men
原題|Hross í oss
監督|ベネディクト・エルリングソン Benedikt Erlingsson


IMDb|Hross í oss
http://www.imdb.com/title/tt3074732/




Of Horses and Men - Trailer





『馬々と人間たち』日本版予告編



------------------------------------------------------------------------------------------

アイスランドは最終選考に残った5作品のショートリストを発表していました。
最終選考に残っていた作品は以下のとおり。


・ Ferox
  原題|Falskur fugl
  監督|Thoromar Jonsson (Thor Omar Jonsson)


・ Of Horses and Men
  原題|Hross í oss
  監督|ベネディクト・エルリングソン Benedikt Erlingsson


・ Rock Bottom
  原題|Þetta Reddast
  監督|Börkur Gunnarsson


・ Spooks and Spirits
  原題|Ófeigur gengur aftur
  監督|Ágúst Guðmundsson


・ XL(2013年)
  監督|マーテン・トーソン Marteinn Thorsson




共通テーマ:映画

2013アカデミー賞外国語映画賞:スペインからの出品作が決定

2013年サン・セバスティアン国際映画祭メイド・イン・スペイン部門へ選出されている『15 Years Plus A Day(英題)』がスペイン代表作に決まりました。



スペインからの出品作
15 Years and One Day
旧英題|15 Years Plus A Day
原題|15 años y un día
監督|グラシア・ケレヘタ Gracia Querejeta


IMDb|15 años y un día
http://www.imdb.com/title/tt2368525/




15 Years Plus A Day (15 años y un día) - Trailer



------------------------------------------------------------------------------------------

スペインは、最終選考に残った4作品のショートリストを発表していました。
最終選考に残っていた作品は以下のとおり。


 ・ カニバル  英題|Cannibal
   監督|マヌエル・マルティン・クエンカ Manuel Martin Cuenca


 ・ Family United
   監督|ダニエル・サンチェス・アレバロ Daniel Sanchez Arevalo


 ・ 15 Years and One Day(15 Years Plus a Day)
   監督|グラシア・ケレヘタ Gracia Querejeta


 ・ スコーピオン 反逆のボクサー  英題|Scorpion in Love
   監督|サンティアゴ・A・サノウ  Santiago A. Zannou(Santiago Zannou)


ペドロ・アルモドバル監督作『アイム・ソー・エキサイテッド!』は最終候補にもあがらず、落選。




共通テーマ:映画

バラエティ誌「アカデミー賞外国語映画賞部門はオーバーホール可能か?」

日本代表(『舟を編む』)とインド代表(『The Good Road』)選考で思いがけなく番狂わせ的選択があったためか、「アカデミー賞外国語映画賞の各国からの出品作選出方法はこのままでいいのか?」という問題提起記事が出ました。

variety.com  2013年09月23日付け記事  筆者:Cameron Bailey
Could the Oscars’ Foreign Language Award Use an Overhaul?

素人のおばはんが辞書を引きつつ大昔習ったまま上達しない英語で訳してみた文章です。違って間違っていたらごめんなさい。一部省略した部分もあります。上記リンク先の記事もお読みください。

(訳):カンヌ国際映画祭で高評価を得て北米での配給も決まった日本映画『そして父になる』とインド映画『The Lunchbox』。 これらの作品はそれぞれの国の代表作としてアカデミー賞外国語映画賞部門で良い結果を出すのに最良の作品であったはずだが、どちらも最初のハードルを越えられなかった。また、フランスの『アデル、ブルーは熱い色』はフランスでの劇場公開日が10月であることから2013年度のアカデミー賞外国語映画賞部門への出品には規定不適合(出品不可)とされた。フランスの配給会社"ワイルドバンチ"のVincent Maraval氏はアカデミー賞外国語映画賞部門の規則を「ユニークで、独自性があり、そして無意味だ(道理にかなってない)」と言う。 アカデミー賞外国語映画賞は1956年に創設。当時はヨーロッパのアートハウス系映画が北米で広く公開されるようになり始めていた時期でもあった。その影響か、現在に至るまで同部門の受賞作65作品のうち52作品がヨーロッパの作品となっている。また、一般観客を高揚させるような映画を選択するというアカデミーの傾向を反映し、世界的映画の巨匠が何人も受賞を逃している。例えば、小津安二郎、サタジット・レイ、ミケランジェロ・アントニオーニ、ジャン=リュック・ゴダール、ウスマン・センベーヌ、アンドレイ・タルコフスキー、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、アッバス・キアロスタミ、クレール・ドニ、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)は一度もノミネートされていない。 しかし、変化は可能だ。2005年以前はそれぞれの国の公用語の映画のみが出品可能だっだが、その後、カナダはヒンディー語映画『Water』を、そして今年イギリスはフィリピン語映画『Metro Manila』を代表作としてエントリーした。また、2010年度にはヨルゴス・ランティモス監督作『籠の中の乙女』がノミネートされた。これはサプライズであったけれど、新たなる表現に対しての開かれたノミネーションという進化の過程でもあった。




そして、記事は「更なる変化を希望しいくつかの提案をしてみる」として、4つの提案事項を挙げています。

● Scrap the significance of nation 国家であることの重要性を破棄する
(訳):通常、映画賞を受賞した場合はそれを監督した人物に賞が授与されるが、アカデミー賞外国語映画賞の場合は出品した国に賞が与えられる。それぞれの出品国は(国家という)ひとつの集団として自国の代表作の勝利を喜ぶ。でも実のところ、優れた外国語映画というのはその作品の創造性がたいてい製作された国の映画製作能力よりもはるかに上をいっているものである。(=製作された国の映画製作能力と受賞作の優秀性はほとんど関係がない。) また複数国で共同製作された作品も多い。(こういう状況において)作品の国籍というものは本当に必要なのか?



● Scrap the one-country, one-film rule 「一ヶ国につき一作品」という規定を破棄する
(訳):この規則は競争を公平なものにしているけれど、同時に優れた映画にとっての予想外の障害にもなっている。それはその国の映画製作本数が多い少ないに関わらない。代表作一作品を選出する事を個々の国の映画組織に頼っているのは出品作の選出過程をそんざいに扱っている状態にしたまま放置しているということだ。エンタメ業界に影響力のあるジャーナリスト、アン・トンプソンは最近こう書いている―「出品国個々に代表作を選出させる事の問題点のひとつは、選考において不正が行われていないと仮定するとしてその選択はしばしば近視眼的で、アカデミー賞を他国の映画と競争し合うのに最もふさわしい作品を彼らが選択するというわけではないということだ」 問題が起きやすい傾向にある代表作選考過程をなぜ変更しないのか。

もしかして不正が行われたのでは?と勘ぐってしまうほど日本の選択した結果は不可解だった、ということ。そして、外国語映画賞部門の傾向と対策を考慮せずに、アカデミー賞は他作品とのコンペ(競争)だということも忘れてしまっているかのように代表作を決めてくる国も今だにある、という指摘ですね。



● Or find a compromise もしくは、妥協点を見つける
(訳):各国の映画組織に代表作を選択させるという方法を維持させるのであれば、候補作のラインナップを補完するためにアカデミー自身が作品を推薦し補充してほしい。たとえば、アカデミーは主だった10の映画祭で初公開される外国語映画を厳密に調査しているのか? サンダンス、ベルリン、グアダラハラ、トライベッカ、カンヌ、ロカルノ、ベネチア、トロント、釜山、ドバイの各映画祭を調査してもっと豊かな映画資源を提供していただけませんでしょうか?

「あいつらに任せておくとロクなもんを選んでこない。こっちで面倒みてやらなきゃ仕方ないだろ」とその見る目の無さを馬鹿にされているんですよ。全く。 そして、アジアを代表する映画祭は釜山とドバイであって東京じゃない、ってこと。そりゃそうだということはわかっちゃいたけど。でも東京国際映画祭は釜山やドバイよりもはるかに歴史が長いんですよ。



● Institute a U.S. release requirement  "北米での公開"という条件を設定する
(訳):アカデミー賞の他部門とは異なり、外国語映画賞部門では北米での公開を必要とされない。この規則が変われば配給会社もさらに多くの外国語映画を買って公開するようになるかもしれないし、その年の有力候補作に対して早い時期からキャンペーンを行うようになるかもしれない。(そうなれば)『The Lunchbox』や『そして父になる』のようなすでに評価を得ている作品が興行的にも成功するようになるのは確かだろう。


ここまで



外国語映画賞は選考過程に(各国代表作選考もノミニー&受賞選考も。)問題があるのですが、改善するにしてもなかなか難しい部門でもあって・・・。 今回、日本とインドのミスチョイス(?)によってこうして業界有力誌から問題提起が行われたわけだし、それを思えばまぁミスチョイスした意義はあったのかもしれません。 ジャーナリストのアン・トンプソンが言うようにせっかくコンペに参加するのですから他国からの出品作と競争し勝ち抜けることが出来るものをできるだけ選ぶという認識で決めて欲しいもんですよ。そのためには日本代表作選考委員が「今、世界の映画の潮流はどうなっているのか?」「アカデミー賞外国語映画賞の傾向は今、どうなっているのか?」を常に知っておかなくてはならないのですが。(他国からの出品作の傾向も含めて、変化が無さそうでいて毎年少しずつ変っているので。) 繰り返しになりますが、今年、日本ではもしかして不正があったのか!?なんて疑われてしまうような妙な選択をした、ってことですよ。そして「見る目無いな / 傾向と対策も考えずに出品しているのか(アホちゃうか)」と馬鹿にされ同部門の有力作を出品させてこなかったことをガッカリされているんですよ。今年、日本代表を選考した審査員はこの忌々しき事態を受け止めてほしいわね。

あと・・・日本の観客もアカデミー賞にノミネートが決まれば大騒ぎするけど、その前段階の日本代表作選考に関してはさほど関心がない。どの作品が日本代表作になっているかも知らないんじゃないかな。(一応、日本代表作が決まったときには記事にはなるけれど、そんなのじきに忘れちゃうよね。) だから、選考委員も選考過程も公表されないままだし、選考方法にも選考結果にも批判が出ない。一般の観客側から批判が出ないと、きっとこのままの状況が続く。アカデミー側から規則の改訂がない限りは。業界内からは表立って批判や改善要求は出ないでしょうし。そして何の批判もないまま、毎年、ちょっとピントのずれた作品を選んでは出品先(=アメリカ)で失笑される。

このような状況で今年の日本代表作を見る目は厳しくなったのではないかと推測しますが、そんな中でも無事勝ち抜いてノミネートされるといいですね、ということで。 おしまい。


--------------------------------------------------------------------------------------------

(2013/11/10 追記)

【関連記事】

dot.(ドット)|朝日新聞出版 2013/10/24付け更新
「そして父になる」がアカデミー賞候補になれない意外な理由

この中で語られている映画ライターの紀平氏の主張はどうなのか。ちゃんと理解されていると思いますけどね。むしろ(上のバラエティ誌の記事でも書かれているとおり)『そして父になる』のほうが選ばれやすいと言われているのに、何言っているんだろう。 そして、国内選考も(他国ではやっている)アカデミー賞外国語映画賞の″傾向と対策″を考慮していないそうで。世界の潮流を考えていない/掴んでいないと胸を張っているという滑稽さ。選考委員がガラパゴス化。話にならない。 それに、マスコミとしては「どの作品が日本代表作選考に対して申請をあげてきたのか」「選考したのは誰なのか」をなぜ公表しないのか?ということを指摘するべきじゃないのか。



Yahoo! ニュース 個人  2013年9月7日付け
意外に知られていない「アカデミー外国語映画賞」の選ばれ方

『おくりびと』が受賞した2008年度から同部門の傾向は微妙に変化しています。それは『おくりびと』という作品が受賞したことを受けての変化です。(『おくりびと』は「はたしてあの作品を受賞させてもよかったのか?」という議論も一部で起こりました。) この記事はその微妙な変化を追い切れていないように思います。 (上のバラエティ誌の記事でも書かれているとおり)2010年度の『籠の中の乙女』(2009年カンヌ国際映画祭ある視点部門受賞作)のような演出の作品をも選ぶようになっています。従来の傾向とおりの(アート系とは一線を画したタイプの)作品も同時に選出されているのも確かなので、この記事が傾向を読み間違えているとは言えないとは思いますが。 




共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。